昨年、IR(統合型リゾート)関連文書などがほぼ「黒塗り」状態で情報開示されたとして批判を浴びた東京都。しかし、その「黒塗り」がいつの間にか「白塗り」に変更されていたことがわかった。
これは11月23日に「しんぶん赤旗」が報じたもの。記事によれば、江東市民連合の事務局長が6月に開示請求し、都とカジノ業者の面談記録が白塗りにされていたことで判明。都では今年1月に情報公開に関する要綱が改定されたとし、非開示部分を「白塗り」にできると定められていたというのだ。
都の生活文化局は同紙の取材に対して、「白塗り」を採用した理由を「視認性の向上」と説明。「白塗り枠付き」または「黒塗り」のどちらを選ぶかは、各局・庁に任せていると説明したという。
一方で小池百合子都知事(69)に向けた説明文書では、非開示情報は「白塗り」を優先とし、「白塗り枠付きの対応が簡便にできるソフトの開発」などをメーカーに要望する方針が記されていたという。
IR関連文書は発言内容など肝心な箇所がほぼ「黒塗り」だったことから、“のり弁”とも称された。だが、“目で見た時の確認のしやすさ”を優先し色を変えただけの方策に、SNS上では「ふざけている」といった声が噴出している。
《どこが隠蔽された部分なのか一目で分かり難くなった》
《白塗りにされたら、どこを非公開とされたのかも、分かりにくくなる。改ざんに近いのでは?!》
《悪質極まりない。あの手この手で何を隠したいのか?》
《都民を国民を舐めてるんでしょうか…開かれた都政とは程遠い事がイヤというほど分かりました》
これまで小池氏は情報公開を巡って、“透明化”を主張してきた。小池氏が創設した「都民ファーストの会」の公式サイトでは、「公約の進捗」の“自己評価”が掲示されている。なかでも「『のり弁』をやめます」の項目はすでに「実現」とされており、成果を挙げたことになっているのだ。
同党発足時の’17年、小池氏は「東京大改革」の一環で「のり弁をやめます」を掲げ、「『黒塗り』の公文書を改め、徹底的に情報公開します」と訴えていた。確かに「白塗り」にすることで“のり弁”ではなくなったが、この方法で都民の納得を得られるだろうか。
「小池氏にとって情報公開の透明性は、『東京大改革の一丁目一番地』だったはず。都知事に初就任した‘16年にも、職員への訓示で『情報公開を通じて、都政への信頼回復に繋げていきたい』と呼びかけていました。
白塗りの採用は“黒塗り批判”への改善策や印刷トナーの節約といったところでしょうが、都民から求められていることと乖離しているように思えます。都民の多くは“文書の視覚的な見やすさ”ではなく、より正確・詳細な情報を知ることを求めています。これまで以上に多くの情報を開示していくといった要綱改定ではなく、非開示部分を白塗りにするとは“論点ずらし”と捉えられても仕方がないでしょう」(全国紙記者)
「白塗り」が問題視されるなか、いつの間にか「『のり弁』をやめます」の公約が“実現済み”となっていたことにも呆れ声が上がっている。
《実現してねーわ。都知事ふざけてますか?》
《一休さんじゃないんだよ》
《「のり弁から、のりを剥いだだけ」で「公約実現」とはまた、楽な仕事ですね、東京都知事って》
果たして「白塗り」について、小池氏はどのように説明するのだろうか。