デビューから7年で大人気グループとなったBTS(写真:アフロ)
「事務所代表であるパン・シヒョク氏(48)の保有する株式は、上場によって3兆6千800億ウォン(約3千400億円)以上にまで高騰しました。
これは一夜にして、ヒュンダイ自動車グループの名誉会長に次ぐ韓国6位の大富豪となったことを意味します。それだけ、BTSの勢いがすさまじいということでしょう」(韓国芸能関係者)
7人組男性音楽グループ・BTS(防弾少年団)の所属する芸能事務所「ビッグヒットエンターテインメント」が10月15日、韓国取引所に上場を果たした。
1株27万ウォン(約2万5千円)の初値をつけ、時価総額は一時11兆8千800億ウォン(約1兆900億円)を記録。その後は午後に株価が下落したものの、鮮烈な株式市場デビューを飾ることとなった。
「事務所の設立は'05年。代表のパン氏は過去のインタビューで『当初は仕事がなくて破産しそうになった』と語っていたこともありました。
しかし、それから15年のうちに急成長。昨年の営業利益は、すでに韓国大手芸能事務所3社の合計を上回っていたと報じられています。そして、その売り上げの9割をBTSが稼ぎ出しているのです」(前出・韓国芸能関係者)
リーダーのRM(26)をはじめ、JIN(27)、SUGA(27)、J-HOPE(26)など実力派がそろったグループ。そしてJIMIN(25)、V(24)、JUNG KOOK(23)らは特に女性ファンから絶大な支持を得ている。
いまや世界的なヒットメーカーとなったBTS。だがその道のりは、決して順風満帆とはいえなかった――。
「リーダーのRMが最長で2年9カ月間、ほかのメンバーたちも同じくらい長い練習生生活をすごしてきました。
全部で30人以上が集められたのですが、その後もたびたびコンセプトやメンバー変更が行われることに。誰かが入ると誰かが出ていくという、サバイバルな生活が続きました。みんなお金もなく、いつになったらデビューできるのかという不安と闘ってきたそうです」(前出・韓国芸能関係者)
昨年12月発売の写真集『Dicon BEHIND THE SCENE~僕たちが一緒なら砂漠も海になる~』に掲載されたインタビューでも、メンバーは当時を回顧している。
SUGAは“月30万ウォン(約3万円)”の極貧生活についてこう明かしていた。
《プロダクションの近くのいちばん安い食事が6,000ウォンくらいでした。1カ月の生活費の30万ウォンだけでは到底足りませんでした。MIDIのレッスンとデリバリーのバイトを掛け持ちしていました。その時、事故に遭ってしまい、肩に大怪我を負いました。もうあきらめて田舎に帰ろうかと思ったけど…メンバーに引き留められました。会社も待ってくれました》
メンバー同士で励まし合い、なんとかデビューへとこぎつけた。しかし、その後も試練が待ち受けていたという。
「'13年6月に『NoMoreDream』でデビューを果たしましたが、メンバーたちに待っていたのは『三流』『プロダクションが小さいから売れない』『ありきたりの弱小アイドル』といった心ない批判。当時の彼らはHIPHOP色が強く、一般層には受け入れられにくい部分がありました。
またK‐POP歌手にとっては地上波の音楽番組で1位になることがステータスであり、目標とされています。大手所属のアイドルだと、デビューと同時に1位になることも珍しくありません。しかしBTSがその目標を達成できたのは、実に692日後のことでした。
晴れて『INEEDU』で念願の1位を獲得したとき、リーダーのRMは信じられないという表情に。そして『落ち着いてもっと頑張らないといけないと思った』とコメントしていました」(韓国音楽関係者)
このヒットがきっかけとなり、BTSは一気にスターダムを駆け上がっていく。近年では、国内外で不動の地位を築いていたという。
「昨年時点でのBTSのCMギャラは、“3億円から5億円”ともいわれていました。これは、韓国広告業界での史上最高額です。トップクラスのアイドルグループでも1億円ほどなので、いかに圧倒的な人気を誇っているかがわかるでしょう。
その人気は、韓国にとどまりません。日本ではもちろんのこと、アメリカでもBTS旋風が吹き始めています。
'17年にはビルボード・ミュージック・アワードで、ジャスティン・ビーバーを抑えてトップソーシャルアーティスト賞を受賞。昨年にはグラミー賞にプレゼンターとして出席も果たしました」(前出・韓国音楽関係者)
そうした人気を反映しての、今回の株価上昇。今回、事務所社長からメンバーたちへ驚きの“特別ボーナス”が支給されていた。
「社長からメンバー1人につき約6万8千株が付与されたそうなんです。これは公開初日のレートに換算すると、207億ウォン! 日本円にするとなんと約19億円にのぼります。
事務所がまだ小さかったころから、BTSはいっしょに頑張ってきました。これまで信じてついてきてくれた彼らへ、社長なりに恩返しがしたかったのでしょう」(前出・韓国芸能関係者)
“月3万円”の極貧生活から7年で19億円――。道のりは、平たんではなかった。だが、その努力は決して彼らを裏切らなかった。
「女性自身」2020年11月3日号 掲載