「私が懇意にしている都内の歯医者さんには歌舞伎役者の海老蔵さんも通院しています。彼は時間の空いているときは頻繁に来ているようですが、予約なしでやって来ることもあるようです。
完全予約制なので、私ももちろん予約してから行くのですが、他の患者さんのなかには海老蔵さんの治療が突然入ったせいで待たされる方もいるようです」
ハイドロ銀チタンマスクの親子CM出演が話題の市川海老蔵(43)。来春には13代目市川團十郎襲名が控えている彼だが、驚くほど歯のメンテに必死になっているという。同じ歯科医院に通う女性が明かしてくれた。
海老蔵お気に入りのその歯科医院は、ホワイトニングやクリーニングなどの審美歯科でも名が知られている。白い歯は海老蔵のトレードマークでもあるが、美しい歯を保つためだけなら、そこまで頻繁に通う必要はないのだが……。
「海老蔵さんはとにかく歯に大変気を遣っています。彼のブログにも歯のトラブルについてはよく書き込んでいますよ。また、麗禾ちゃんと勸玄くんへ厳しい毎日の歯磨き指導を実践している様子もブログからよくわかります」(歌舞伎関係者)
海老蔵オフィシャルブログを確認すると、たしかに歯に関する内容が多い。
《歯医者へ なんか かけた? すこし?気になったので みにきた》(20年9月9日付)。《歯医者さんへ 歯抜けたりあるので 定期的に行くことにしました》(19年10月19日付)
《きのう芝居中 歯がかけまして笑笑、今から急遽 歯医者さんです。あはは》(18年12月31日付)
役者仲間も同じ悩みを抱えているようで、今年の1月8日には次の投稿を。
《さっき楽屋で聞いたら 今日みんな俳優陣は 歯医者と病院へ行く人が多いようです。(略)昼夜両方とも休みないと 本当に歯医者も行けない人が多くいます》
海老蔵を悩ませる歌舞伎役者と歯の関係について、「江口歯科・矯正」(神奈川県旭区)の江口康久万院長に聞いた。
スポーツ選手の健康管理を歯科医学の見地から調べている江口院長は、日本高校野球連盟と協力し、高校球児にマウスガードの普及にも努めてきた人物だ。
「“世界の王”といわれた王貞治さん(80・現ソフトバンクホークス球団会長)は、ホームランを打つときに激しく歯を食いしばっていたから、引退時には、奥歯がボロボロだったと聞いたことがあります。
歌舞伎役者が見得を切るときには、口を真一文字にして、奥歯をぐっと噛みしめます。それを何度も繰り返すと、歯の表面も削れるし、歯を支える骨までもろくなってしまいます。とくに海老蔵さんの『睨み』は歯への負担が大きいので、歯を支える部分が弱くならないように歯科医院で歯周病のケアをしているのかもしれませんね」
市川団十郎家が代々継いできた「見得」のひとつ「睨み」は、歌舞伎役者のなかでは海老蔵だけが舞台で披露できる所作。「ひとつ、睨んでご覧にいれましょう」とカッと目を見開き、ぐっと奥歯を噛みしめながら客席を見渡す睨みは迫力満点だが、歯のダメージは少なくないようだ。
2人の子供たちへの「歯の意識」を高める指導も、自身が辛さを体感しているからこそなのかもしれない。
「いずれ加齢とともに、歯が欠けたり抜けたりすることも。さらに前歯が前に倒れてきて、表情が変わってしまうこともあります。その影響で歯の並びも悪くなるし、顔貌自体が変わってくることもあります。歯科医の指導のもと、マウスピースをつけて摩耗を防いだり、噛みしめをやわらげたりするなどの歯周に対してのケアが大切になってくるでしょう」(江口院長)
最近では、歯には健康を支える重要な働きがあることが明らかになっている。
「歯の残数が寿命と比例します。とくに歯のケアが十分でないと、歯周病菌などに感染し、それがもとで動脈硬化や心疾患、糖尿病などのさまざま疾病の原因にも。また、歯を失うことで口の機能の低下するオーラルフレイルになると、総死亡リスクが2.1倍も高くなることがわかっています」(江口院長)
邪気が払われ、無病息災で過ごせる効果があるとも言い伝えられている睨み。そのご利益のカゲに、演じる役者の意外な苦悩があった。