「こんなにありがたい、うれしいことはありません」
万雷の拍手のなか、感慨深そうにこう語るのは市川海老蔵(42)。これは11月11日から福岡・博多座で行われている「市川海老蔵特別公演」の初日に語ったもの。
成田屋のお家芸である「にらみ」を披露し、連日客席を沸かせている海老蔵だが、その“舞台裏”は穏やかではなかった。
「10月22日に今回の公演の取材会があったのですが、海老蔵さんは不在で、共演の坂東巳之助さん(31)らが出席しました。冠公演の取材会に主役が出てこないなんて前代未聞です」(歌舞伎関係者)
海老蔵が異例の“欠席”を断行した裏では、ギャラを巡る攻防戦が繰り広げられていたという。
「コロナ禍で歌舞伎界は2月末から公演中止に追い込まれました。8月に再開しましたが、客席は今も半数に制限されています。そこで松竹はスタッフや演者に対して『満席になるまで我慢してほしい』と“半減”レベルの大幅なギャラダウンをお願いしました。
大御所も受け入れるなか、当初、海老蔵さんは突っぱねたそうです。今回の公演も客席は半分ですから、海老蔵さんはスケジュールの都合もあって“取材会のボイコット”という形で不満を示したのでしょう」(前出・歌舞伎関係者)
海老蔵が抵抗したのには理由があると明かすのは、別の歌舞伎関係者。
■「来年こそ海外公演をやりたい!」
「市川宗家として歌舞伎界を支える立場にある海老蔵さんとしては、自分がはっきり言うことで少しでも困窮にあえぐ若手を救いたいという思いもあるのでしょう。7月には片岡孝太郎さん(52)がブログで、名の知れた歌舞伎役者がUber Eatsの配達員としても働いていたことを明かしていました。そうした事情もあり、“役者側の苦境も考えて”と釘を刺したうえで“ギャラ減額”を受け入れたそうです」
さらに松竹への別の不満もあるのでは、と海老蔵の知人は言う。
「海老蔵さんは『来年こそ海外公演をやりたい!』と意気込んでいます。しかし、松竹はコロナ禍のこともあり、消極的なようです。父の團十郎さん(享年66)が04年に行ったパリ公演は大好評でしたが、結果として莫大な借金を背負うことになりましたから。海老蔵さんは“父子の夢”がなかなか実現できないことに悩んでもいました」
そんななか、先日、1月から東京で海老蔵の冠公演が行われることが発表されたが、これは“一時休戦”の証だという。
「1月の公演も客席は半分で行う予定だそうですが、海老蔵さんは出演を了承したそうです。襲名披露公演も控えてますから、いつまでも『ケンカしているわけにはいかない』と一歩引いたのでしょう」(前出・別の歌舞伎関係者)
海老蔵の“にらみ”がおさまる日はいったいいつ?
「女性自身」2020年12月1日・8日合併号 掲載