2月7日まで開催していた競泳「ジャパン・オープン」。本大会は昨年9月に不倫報道があった競泳・瀬戸大也選手(26)の復帰戦とあって、スポーツ好きだけでなく多くの人からも注目が集まっていました。
144日ぶりとなった本復帰戦は不倫からの精神的ダメージや体力面での変化に注目が集まっていましたが、注目の結果は初日の400m個人メドレーで優勝。しかし翌日以降は200メートルバタフライで3位、200メートル個人メドレーは最下位。練習不足や体力面での不安を痛感した形になったようです。
東京オリンピック唯一の競泳選手での内定者ということで、金メダルに近い男として今後も動向が注目を集めそうです。
■堂々復帰もなぜか妻が叩かれる不思議
今回の復帰戦において、良い結果と課題が残った瀬戸選手。その解説は専門誌に任せるとして筆者が気になったのは、瀬戸選手の優勝を踏まえてコメントする妻・馬淵優佳さん(26)への批判がネット上に多く上がっていたことです。
5日には大会の結果を踏まえ、アスリートを支える妻としてインタビューに答えた記事に対して「計算している」「相当したたかな印象」「美談にしすぎ」といった批判がかなり集まっていました。
そもそも彼女は不倫発覚後の昨年10月、FRaUのインタビューでこう答えています。
「私自身この騒動を経た彼がどう変わるか見届けてからじゃないと離れられない」
不倫報道が彼や家庭の個人的な問題ではなく、競技者としての社会的責任も踏まえて出来ることをやりきらないといけない。彼女の中でそんな視点に変わっていることを表明しています。
強い決意があることは本人が表明しており、その上での現在のアスリート妻としての活動。なのに、それを見た一部の方は「したたか」と表現するようです。
■「気丈に振る舞う」と「不倫をバネに」の違いとは
馬淵さんの決意と今の活動スタンスは、完全に「不倫をバネに、行動で見せていく」といった“強気な決意”です。
彼女の言葉や活動からは“不倫された可哀想な妻”という雰囲気はなく、むしろ今の自分に出来ることを最大限やっていくという覚悟を感じます。こういった”サレ妻”の強さに対して過剰な揚げ足取りが発生するのは、なぜなのでしょうか。
1つは「不倫された妻=可哀想」という規定イメージを超えてしまうと、人は主張の強さに違和感を大きく抱くというものです。
彼女は現在、バラエティ番組や取材にも積極的に出演。今や、夫の瀬戸さんよりも目立っているときがあります。そういった想定以上の主張の強さに、人は拒否反応を示すのかもしれません。
もう1つは、コロナという苦しい時期を耐える空気に反した存在というのもあるように思います。
現在は物質的にも精神的にも、多くの人が“この苦しい時期をなんとか乗り切ろう”といった空気の中にいます。こういったときは、その空気を乱すような強いエネルギーに対して過剰な称賛や批判が集まりやすいです。
耐え忍ぶときに、失敗をバネにしてもう一度上へ行こうとする、そんな彼女の輝きは、人によっては不安すら覚えるのかもしれません。
懸念点を書き出しましたが、結局、アスリートというのは結果がすべて。どんなに出しゃばろうと、しおらしくしようと、最後は結果を出した人が褒め称えられる世界です。
そう考えるとシビアを通り越して残酷な評価軸の中で生き続けなくてはいけないわけで、「やっぱり馬淵さんのメンタルって凄い!」と個人的には彼女のハートの強さにいい意味でため息が漏れるのでした。
現在、東京オリンピック開催の是非について注目が集まっています。瀬戸大也選手が劇的な復帰を遂げるのか。そしてそのとき、妻としてどのような夫の姿を見届けるのか。すでに、ドラマは始まっているような気がします。
(文:おおしまりえ)