「事務所の名前は『(株)スマイル』です。こんなご時世ですから一人でも多くの人を笑顔にしたいという思いから名付けました」
晴れやかな顔つきでそう語ったのは、酒井法子(50)。5月1日、酒井は所属する「オフィス・ニグンニイバ」を退所し、今後は自ら立ち上げた個人事務所『(株)スマイル』で活動していく。
86年にサンミュージックから芸能界デビューした酒井は、愛くるしいルックスでたちまち人気を集め、“のりピー”の愛称で親しまれるトップアイドルに。09年にサンミュージックを離れると12年に前事務所へ移籍し、今回、裸一貫での再スタートを切ることとなった。
独立を決断した背景には、まもなく迎える芸能生活35周年という“節目”が大きく影響しているようだ。
「40代前半は独立なんて考えたこともありませんでしたが、最近は独立される芸能人の方が多く、私も“そういうやり方もあるのか”と、ここ1~2年で考えるようになりました。私自身、芸能生活も35周年を迎えるにあたって、これから先のことを考えたときに、“あとどれくらいこのお仕事ができるのかな”って。
そこで無謀かな? とも思ったのですが、自分の世界観を変える“最後のひと頑張り”の時期に来たのかなと。今、世の中の状況が大変ななか、私も自分自身のことを振り返って独立という決断をしました。もちろん事務所とは円満退社です。最初はびっくりしていましたが、自分の気持ちをきちんと聞いてもらって一つ一つ解決していきました」
■「YouTubeはやってダメならしょうがない」
今後はタレントだけでなく、営業活動や経費計算といった雑務もすべて自分でこなしていくという。
「電話一本取れるかも不安なんですが……。コンサートをやるにしても自分で楽曲も考えなきゃならないし、自分でそろばんを弾かないといけない。(営業活動も)あまりしつこいと“またのりピー!が来た”って言われてしまうので、人との出会いを大切にしながらやらせていただきたいです。これまでどれだけ皆さんに助けていただいてやってこれたのかという、感謝の気持ちも深くなると思います」
独立後も引き続き女優や歌手としての活動は続ける酒井。加えて彼女が新たに挑戦しようとしているのが、YouTubeだ。
「初めてYouTubeという“禁断の領域”に足を踏み込みます(笑)。そういうのは疎いのですが、やってみようかなって。ダメならダメでしょうがないし。
今はYouTubeのために自分の家の庭造りを始めています。我が家はぜんぜん“映えない”からまず家庭菜園を始めようと。ただ、私は本当にそういうのが苦手なので母に“映えるベランダを一緒に作って!”とSOSを出して、裏方としてYouTubeを支えてもらっています。ステイホームの世の中でオーガニックや無農薬野菜を育てるのは“楽しい!”ということを伝えて、真似する人たちが出てきていただけたら嬉しいです」
悪戦苦闘しながら、YouTubeに挑む酒井。そこには、こんなご時世だからこそ“心を照らす光になりたい”という想いがあった。
「YouTubeを始めるのは、デビューしてから支えてくれたファンのみなさんに恩返しがしたいという思いもあります。今はコロナや先々のことに不安なことが多いじゃないですか。そんな時に、私のYouTubeを見て、“笑ってすっきりした”“明日また頑張ろう”って思ってもらえるきっかけになれる存在でありたい。私自身が笑顔になって、かつ誰かを笑顔にできたらそんな最高なことはないですよね。ゆくゆくは日本の伝統芸能を体験したり、歴史ある旅館の良さを伝えたり全国を回って色々なことも発信していきたいと思っています」
挑戦の日々を送る酒井の支えとなっているのが99年に誕生した長男(21)。いつも酒井をそばで支え続け、ともに暮らしてきた息子は今回の母の決断も応援しているという。
「私も大事なことは息子に話すようにしていますし、彼も何でもよく話してくれます。今回も私が不安な気持ちを口にすると、“どうしたの?”って話を聞いてくれて。いつも励ましてくれて“ママがやりたいことがあるのなら自分の好きなことをやってみるのもいいんじゃない?”って背中を押してくれて、“大人になったんだな~”って(笑)」
最後に今後の“壮大な夢”についても明かしてくれた。
「今度、石黒賢さん(55)主演の『プロデューサーK』という配信ドラマに本人役で出演させていただくのですが、そこでメロディや見せ方を変えた『碧いうさぎ2021』を新しく作りました。この曲で音楽番組や、あわよくば“紅白”にも呼んでいただければ(笑)。
今後は、見ている方々と同じ目線で“隣ののりピー”ではないですけど、より身近に感じてもらいたいです」
“のりピー劇場”の第3章が、希望とともに今、はじまった――。