筑波研究学園都市、JAXAの宇宙センターなど日本屈指の研究都市として知られるつくば市。そんな同市の政治が今、にわかに注目を集めている。
きっかけは10月25日に行われた市議選で初当選した川久保皆実氏(34)。東京大学出身で弁護士という経歴を持つ川久保氏は一般的な街宣車や街頭演説は行わず、SNSへの動画投稿といったネットを中心とした選挙活動を展開。また選挙運動中に黙々と街中のゴミ拾いを行うなど、「市民の力でつくばを変える」という思いを全面に押し出し、初当選を果たす。
一風変わった選挙活動の原動力について川久保氏はこう語っていた。
「選挙運動のやり方自体を変えたかったんです。『従来型の選挙運動が、本当に投票行動に繋がるのか』とずっと疑問に思っていて、私が全然違うやり方で当選できれば、選挙運動の概念が変わるかもと。自分自身、街頭演説や街宣車の声はこれまで聞く気になりませんでしたし、票を入れたいと思ったこともなかった。『今までと違ったやり方でどれくらい得票できるか、実験してみよう』という思いもありました」(11月3日『SmartFLASH』)
このインタビューはたちまちネット上で拡散され、独自のやり方で当選した川久保氏への称賛の声が相次いだ。
実は、つくば市には川久保氏以外にも野心的な政治家が集っている。今回の市議選で初当選を果たした川久保氏の同期でもある小村政文氏(26)もその一人だ。
金髪モヒカン姿の小村氏は4年前からつくば市が好きすぎるあまり自身を“勝手につくば大使”と称して、市のPR活動をYouTubeやブログで展開。これまでつくば市の飲食店や、名所の紹介をアップしてきた。過去には一連の活動が話題を集め、『月曜から夜更かし』(日本テレビ系)に出演したこともある異色の経歴の持ち主だ。
小村氏は当選後、自身のTwitterで、《筑波に住む皆さんがもっと筑波を好きになるような、そんな政治を心掛けてまいります》と今後への意気込みを綴っていた。
また市政の執行部にも優秀な人材が。毛塚幹人氏は、東大卒業後に財務省の官僚になったのち、17年に26歳で同市で最年少副市長に就任した逸材。フォーブスジャパンによる『30 UNDER 30 JAPAN 2019』で世界に多大な影響を与える30歳未満の30人に選出されたことも。
また、市長の五十嵐立青氏(42)は市長室で立って議論を行うことで会議時間を短縮するなど、効率的な市政に取り組んできた。さらに4年で2千万円の市長退職金についても“市民感覚からかけ離れている”と考え、自らの退職金を22円にしたことも話題となった。
つくば市から日本の未来を変える政治家が生まれる日もそう遠くないのかもしれない――。