東京都千代田区大手町。2021年6月、あるオフィスビルの入口に、警視庁警護課のSPらに付き添われた麻生太郎副総理兼財務相(80)が姿を現わした。そのまま麻生氏は、ビル内のあるメガネ店に歩を進めた――。
「この店は、界隈随一の、セレブや一流ビジネスマンが利用する店です。店員の接客対応はすばらしく、検眼や補聴器の調整に1時間以上かけるのはざらです。
さらに、コロナ禍でサラリーマンが在宅勤務を余儀なくされ、大手町が閑散とするなか、来店者のほとんどいない平日午後8時まで営業しているのも客本位の証ですよね」(利用客)
この日の来店目的は、麻生氏が左耳に装着している愛用補聴器のメンテナンスだ。「FRIDAY」(2019年5月10・17日号)によると、麻生氏は「シーメンス社製の50万円の補聴器をつけている」と周囲に話しているという。
「閣議後の記者会見で記者の質問が気にくわないと『あなたはどこの社?』『もっと大きい声で話して!』とぶっきら棒に返すのが麻生氏の常套句ですが、最近は、実際に聞き取りにくそうに右耳を大仰に記者のほうに向けているシーンも多いですね」(政治部記者)
別の同店利用客によると、店内は著名人が来店したときの写真が多く飾られている。麻生氏と同店スタッフが笑顔で収まった写真は、店内の個室の検眼スペースに、さりげなく飾られているそうだ(同店に取材を申し込んだが、「お客様の個人情報のため、お受けできない」と回答があった)。
ある政府関係者は、麻生氏はメガネ店を訪れた6月ごろ、補聴器について「最近、総理の声が聞こえねえんだ」とこぼすこともあったと証言する。この言葉を、政治評論家の伊藤惇夫氏が読み解く。
「『総理の声が聞こえない』というのは皮肉でしょう。もともと、菅さんと麻生さんはうまくいっていませんでしたし、今になって考えれば、“菅切り” の意志を含ませていた言葉に聞こえますね。
周囲には『俺は85歳まで頑張る』と言っているそうですし、『耳の聞こえが悪い』なんて、弱音を吐く人ではありません。記者会見での態度も、ポーズだと思います」
西日本新聞によれば、9月2日夜に菅首相と面談した麻生氏は、河野太郎行政改革担当相を要職に起用する人事案を相談され、「おまえと一緒に、河野の将来まで沈めるわけにいかねえだろ」と声を荒げたという。
翌3日、菅首相は辞意を表明した。首相の最後の懇願にも、麻生氏は耳を貸さなかった。
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