7月26日、イギリスで「上級国民」殺人事件の初公判が開かれ、全英の注目を集めている。
事件は今年4月、ロンドンの東に位置するジリンガム近郊で起きた。リチャード・サットン(84)氏は、複数回にわたり胸部をナイフで刺されて死亡した。
通報から3時間後、現地警察は、サットン氏の義理の息子にあたるトーマス・シュライバー容疑者(34)を殺人容疑で逮捕する。
シュライバー容疑者は、現場にいた実の母に対しても凶行におよび、重傷を負わせている。初公判では、容疑を否認したという。
この事件が注目をあつめる背景には、サットン氏が名うての「上級国民」だったことにある。
英紙『サンデー・タイムズ』が2020年に発表した「富豪ランキング」で、サットン氏の総資産はおよそ450億円、全英で435位にランクインする大金持ちだとされた。
1981年、サットン氏は父から「サットン卿」の称号を受け継ぐと、5つ星の高級ホテル『アテナエウム』や『シェラトン グランド ロンドン パークレーン』など、多くのホテル経営に携わってきた。
一族は、イギリス国内に東京ドーム560個分もの土地を所有しており、その広さはイギリス国防省が保有する面積の2倍にのぼるという。まさに「不動産王」だ。
事件は、推定価格3億円の大豪邸で起きた。カネ目当てなのか、憎悪なのか、犯行の理由は明らかにされていないが、次回公判は11月29日に予定されている。
写真・PA Images/時事通信フォト
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