要職も経験した自民党中堅女性議員は困惑気味に明かす。
「先輩の女性議員から『高市さんの推薦人になれないか』という相談がありました。でも、私は高市さんとは、ほとんどお話ししたことすらない。存じ上げない方なんですよ」
9月29日投開票が決まったことで、自民党総裁選は号砲が鳴った。いま注目を集めるのは “落日の首相” よりも、高市早苗前総務相(60)だろう。
安倍晋三前首相(66)の “路線踏襲” を打ち上げた高市氏は、10月が有力視される総選挙を “新総裁” で迎えたい若手議員からも支持が厚い。
「高市さんといえば、前政権時に『安倍ガールズ』の一角を自任していたほどで、第2次安倍内閣では歴代最長の4年間も総務相を務めた。ところが、菅義偉内閣であっさりと交代になりました。
その背景には2019年夏に発覚した、かんぽ生命の不祥事への処分をめぐって、当時官房長官だった菅首相と対立したことがある、といわれています。菅政権が続く限り、高市さんが閣僚や党役員に就ける可能性はほぼないでしょう」(自民党関係者)
しかし、冷や飯を喰わされた菅政権は失策続きで、「総裁選に勝つ可能性は菅さん8割、高市さん2割」(永田町関係者)と健闘予想の声まで出てきた。
「推薦人が集まらなくても、『やっぱり壁は厚いんだ』となるだけで、“女性首相” へのチャレンジで失うものはない、と思い切って手を挙げたのでしょう。今回は有力な出馬候補もいないし、政権はガタガタ。初の女性首相どころか、総裁選に出馬できた時点で話題になりますから」(同前)
だが、ほかの女性議員たちとの間には冒頭で中堅女性議員が語ったような “溝” がある。
「国会でも党内でも “場” をともにしたことがないんですよ。彼女は女性議員の会合や議連にもほとんど顔も出さなくて」(前出・中堅女性議員)
別の若手女性議員も「私も高市さんとは挨拶程度の関係しかありません。だって、彼女は女性の社会進出などについて、非常に保守的な方ですから。“女性活躍” への思いが、ほかの女性議員とはまったく違うんです。その彼女が “初の女性首相” と騒がれることへの印象ですか……初の女性首相にふさわしい方とは……」と答えにくそうに話すのだった。
なによりも自民党内には、女性議員たちのなかで “長女” を自負する議員がいる。
「野田聖子さんは、自分こそ自民党の女性議員のトップという思いで、実際に政治家として女性活躍を実現する旗振り役を担ってきた。それなのに『高市出馬』にはだんまりです。
高市さんは無所属で初当選し、自由党、新進党などを経て自民党に入り、極度に保守化した経緯がある。
野田さんと高市さんでは政治的なスタンスが違いすぎるとはいえ、女性首相候補について “無言” を貫く野田さんの態度が、まさに高市さんへの自民党女性議員たちの気持ちを如実に表わしていますよ」(前出・自民党関係者)
同性議員全員から支持されれば、首相就任も夢じゃないのに。
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