乾燥地帯に雨が降ったエジプトで、思わぬ2次災害が起きてしまった。巣を追われた「サソリ」が街中に大量に現れたのだ。
現地時間11月12日、エジプト南部の都市アスワンは奇跡のような豪雨に見舞われた。同市はもともと雨が少なく、年間降水量1mmほどの乾燥地帯だが、今回の豪雨により電気はストップし、移動するための船も運行を停止、学校も休校状態だという。
しかし、悲劇はそれだけにとどまらなかった。雨によって巣から追い出された大量のサソリが、どこからともなく現れ、新たな住処を求めて街を彷徨っているのだ。
エジプト保健省の発表によると、すでに503人がサソリに刺されて入院、そのうち3名の死亡が確認されているという。
今回、人々を恐怖に陥れたサソリは、エジプトに多く生息している「ファットテール・スコーピオン」という種類だ。刺されると呼吸困難や筋肉の痙攣が起き、ひどい場合は死に至る。この、世界でも有数に危険なサソリが水を避け、高台の民家に向かったことから、人的被害が発生したとみられる。
現地では解毒剤の準備が急ピッチで進められ、病院には十分な量が供給されたものの、患者が多すぎて医師の数が不足しているという。そのため、コロナワクチンの接種センターに勤務していた医師たちが急遽加わり、対応にあたっている。
住民には、サソリに遭遇しないよう、木々の多い地域に近づかないよう警告が出ている。また、もし刺された場合は、毒が心臓に到達する前に、刺された箇所を布などで縛るよう、呼びかけられている。
この出来事を受け、ネットでは、
《大雨でスコーピオンキングが目覚めたんじゃないか?》
《まるで誰かが “呪われた棺” を開けてしまったかのようだ》
《もし自分の住んでいるところでこんなことがあったら、ゾッとするよ》
などのコメントであふれた。「泣きっ面にサソリ」の状態は、しばらく続きそうだ。
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