11月10日、シンガポールの男(24)に、懲役1年10ヶ月が言い渡された。男の罪は「盗撮」と「脅迫」だ。上司(53)の家に設置した監視カメラで不倫映像を手に入れ、大金を脅し取ろうとしたのだ。
2019年のある日、上司の家に招かれた男は、こっそりと本棚の最上部に監視カメラを設置する。カメラが捉えた映像は、男のスマホにリアルタイムで送信されていた。設置から3週間ほどたった頃、男は、上司が別の男性と性行為にふける様子に気づき、すぐさま映像を保存した。
2020年3月、男は、上司の同性不倫の話を2人の友人に話す。そこで悪だくみを思いついた3人は、上司を脅迫し、カネを脅し取ろうと画策する。まず、身元がバレないようにスマホのSIMカードを入れ替えた。そこから上司あてに「俺たちはお前のおもしろい動画を手に入れた」と動画メッセージを送りつけた。
送信から3日たっても、上司からの返信はなかった。3人は追い討ちをかけるように6万ドル(700万円弱)の現金を要求する。すると、上司から「要求は受け入れるが、コロナの影響で収入が減ってしまい、銀行に借金までしている。5万ドル(約570万円)なら払えるから、絶対に黙っていてくれ」と返信が来た。
上司が提示した金額に満足した3人は、思いどおりに犯行が進んでいるとほくそ笑んだ。だが、すでに上司は警察に通報していた。部屋にカメラを設置できるのは、仕事関係で家に招き入れたごくわずかな人物しかいないと気づいたからだ。
結局、やりとりをした翌日、指定の場所を訪れた3人はあっさり警察に逮捕された。だが、不思議なことに、犯行グループの逮捕後も、上司への脅迫は続いたのだ。実は、犯人のひとりが保釈されたあと、偶然会った男(28)にこの一件を話したことで、その男も3人と同じ手段で上司を恐喝していたのだ。そして、この男もスマホのSIMカード情報から足がつき、あっけなく逮捕されている。
自らのプライベートを部下に隠し撮りされたあげく、複数人から脅しを受けるという悲痛なニュース。上司の屈辱は、計り知れない。
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