アメリカで、1匹の犬が英雄として讃えられている。ジャーマン・シェパードのリッグス(8)は、ウィスコンシン州で活躍する警察犬だ。およそ5年にわたり街の平和を守り続けてきた。
リッグスにピンチが訪れたのは、10月21日のことだ。日付が変わってまもなく、隣接するイリノイ州シカゴ市で発砲事件が発生した。
バス停にいた25歳の男性が胸部に銃弾を撃ち込まれ死亡、犯人は駆け足でその場から逃げると、近くに停まっていた車に乗り込み、運転席にいた41歳の男性に発砲。この男性も死亡したが、犯人は車を盗んで逃走を開始する。
シカゴ警察からの要請で捜査を開始したウィスコンシン州ケノーシャ郡保安官局は、犯人が乗っている車を発見すると、その周囲を取り囲んだ。現場には、リッグスも駆けつけていた。
犯人は銃を持ったまま車から降り、周囲の保安官と対峙する。犯人が逃げようとした瞬間、背後からゆっくりと近づいていたリッグスが一気に襲いかかる。不意をつかれた犯人は、あえなく保安官に身柄を確保された。
だが、その直前、犯人はリッグスに対して発砲。銃弾は、ひたいのど真ん中に命中した。
リッグスはすぐさま市内の緊急病院に搬送された。担当した獣医は「運ばれてきたとき、ひと目で重症だとわかったよ。リッグスの体を固定したが、ケガの影響で震えが止まらない状態だった」と振り返る。
しかし、奇跡は起こった。懸命な治療の結果、リッグスは一命を取り留めたのだ。
10月25日、治療を終えたリッグスが動物病院を退院すると、保安官や街の人々が行列をなし、英雄の帰還を出迎えた。その様子は当局のフェイスブックに投稿され、多くの反響をあつめた。
コメント欄には
《素晴らしいニュースね。1日も早く傷が癒えることを願います》
《おかえりリッグス!君は英雄だ》
《人間よりも優れていて、勇敢な犬だよ》
などの声が寄せられた。
リッグスを担当している保安官は「彼は家族みたいな存在さ。とても優しいけれど、きっちりと自分の仕事もこなす。今回だって、僕たちの命を守ってくれたんだよ」と賛辞を送った。
リッグスの去就は未定だが、ヒーロー犬の誕生に街は大盛り上がりだ。
写真:ウィスコンシン州ケノーシャ郡保安官局
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