いま、アメリカでひとりの女性に注目が集まっている。テレビシリーズ『アメリカン・クライム・ストーリー』のプロデューサー、モニカ・ルインスキー(48)だ。
この名前に聞き覚えがある人も多いだろう。ルインスキーは、1995年11月から1997年3月まで、現職のクリントン大統領とホワイトハウス内で不倫したことで、政権に大打撃を与えたのだ。いわゆる「モニカ・ルインスキー事件」のヒロインである。
当時、ルインスキーはホワイトハウス実習生として大統領の身近にいた。1998年に不倫が発覚すると、大統領は即座に否定したが、その後、衣服に付着した精液がDNA鑑定にかけられ、事実だと断定された。
結局、大統領は「不適切な関係」を認め、一時は弾劾訴追されたが、無罪評決により事件自体は幕を閉じた。しかし、2人の性行為の詳細が報道されたことで、大統領の評価は著しく下落。2000年の大統領選の敗北につながった。
『アメリカン・クライム・ストーリー』最新シリーズでは、この不倫事件が実写化され、9月7日(現地時間)から放送がスタート。番組ではルインスキー本人が登場し、当時のできごとを赤裸々に解説している。
ホワイトハウスでの性行為という、あまりに品性に欠けたできごとだけに、23年が経った今でも、アメリカではルインスキーの知名度は抜群だ。フォロワー数113万人のルインスキーのツイッターには、今回の放送を受け、
《モニカが語る言葉には重みがあるよ。今夜が待ちきれない》
《テレビを観ました。パワフルで貴重なメッセージをありがとう》
などと数多くのメッセージが寄せられている。
実は、クリントン大統領が評判を下げる一方、その後のルインスキーは、事件をきっかけに華々しいキャリアを送った。セレブ事情に詳しい米メディア『Celebrity Net Worth』によると、現在のルインスキーの資産は1億6000万円にのぼるという。
1999年、ルインスキーはABCニュース『20/20』でインタビューに応じている。これはアメリカのテレビ史上、マイケル・ジャクソンに次いで2番目に多く試聴されたインタビューと言われ、およそ7000万人を釘付けにした。このときのギャラは1億円を超えている。
同年、『モニカの物語』という本を出版し、契約金5000万円を手に入れる。こうしたギャラを使い、すぐに自らのブランドを立ち上げ、ハンドバッグのデザインなどを開始。
2000年には、ダイエット企業の広報として、6カ月で18キロ減に挑戦し、最終的に3000万円ほどの報奨金を得た。さらに2003年には、恋愛リアリティ番組「ミスターパーソナリティ」の制作に参画している。
本の執筆、テレビ出演、番組制作、オリジナルブランドの設立……などなど多方面に活躍するが、2006年には移住先のロンドンの大学院で、理学修士も取得している。
一時、メディアから姿を消していたが、2014年から再び露出を始め、ついに今回、プロデューサーとして、自らの体験を連続ドラマ化することに成功した。
ルインスキーはスキャンダル後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんだというが、まさに「ケガの功名」と言える華麗な人生を歩んできたのだ。
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