打って投げての二刀流で、MVPレベルの活躍を続けるエンゼルスの大谷翔平(26)。オールスターの前日におこなわれるホームランダービーに日本人として初出場が決まるなど、快進撃が止まらない。一方で心配なのが、メジャーリーグ特有の、いじめともとれる “かわいがり” の兆候だ。
6月12日(日本時間、以下同)のダイヤモンドバックス戦で先発登板した際、1イニングに2つのボーク判定を受けたことは大きな話題となった。大谷がメジャーでボークを取られたのは初。日本でも、2014年に一度あったきりだ。
元レッドソックスの上原浩治氏はこれについて「メジャーあるあるだよなぁ マウンド上で不服な態度を出すと、余計に厳しく、目の敵みたいにしてくる……」とツイッターにつづった。
MLB解説者の福島良一氏は、「2つめのボークは、大谷の審判への態度が招いた可能性が高い」と言う。
「日本とは比較にならないほど審判の権限が強く、プライドが高い。また注目の若手ほど、審判が厳しい態度をとる傾向がないとはいえません」
スポーツライターの広尾晃氏も同意見だ。
「最初のボークで大谷は『なんで?』というジェスチャーを見せましたが、あれはメジャーでは絶対にやってはいけないこと。審判に対する敬意を欠いた行為に映ります」
大谷の態度が審判にどう映ったのか、元メジャーリーガーのマック鈴木氏に聞いた。
「大谷は、今年は活躍しているが、怪我もあり、実質的にはまだ “2年め” の選手。大投手のような態度をとっていい域には達していないよ、ということだと思います」
同様なことは、バッターとしての大谷にもいえる。
5月22日のツインズ戦では、明らかにボールとみられる投球をストライクと判定され、打席で首をかしげる大谷の姿があった。その動画を、SNSでの投球分析が人気の「ピッチングニンジャ」ことロブ・フリードマン氏がツイッターにアップ。「ショーヘイ、これがいつもの彼(審判)のやり方なんだ」と、審判への皮肉をこめて書き込んだ。
こうした打者・大谷に対する厳しい判定は目に見えて増加している。
また、6月21日のタイガース戦では、23号本塁打を放った次の打席で珍事が。内野陣のシフトで空いた三塁側を狙って、大谷がバントの構えを見せると、投手が投球寸前で動作をストップ。だが、大谷が球審に抗議するもスルーされ、その打席は三振。なんとも後味の悪い出来事だった。
注目を集めるほど “大谷包囲網” が厳しくなっていくことは十分に考えられるが、彼は乗り越えられるのか。
「ある試合で、大谷が四球で一塁に向かう際、ライン上のゴミをわざわざ拾って自分のポケットに入れるシーンがありました。審判はこういうところもしっかり見ています。塁に出たとき、審判側からにこやかに話しかけることも多く、関係は悪くなっていないとは感じますが……」(現地記者)
前出の広尾氏は、投手への粘着物質チェックの場面に注目した。
「帽子を地面に叩きつけたシャーザー(ナショナルズ)とは対照的に、大谷は6月24日の試合でチェックを受ける際、自ら帽子とグラブを差し出して、にこやかに対応しました。例のボーク判定で態度に問題があったことに気づき、学習したのではないでしょうか」
かつて「自分の中で課題を消化するのが、野球のおもしろさ」と語った大谷。厳しい審判に認められてこ
そ、真の一流選手だ。
(週刊FLASH 2021年7月13日号)
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