自粛期間中、多くのラーメン店が売り上げ減少に苦しんだ。そんななか、ラーメンの通販が人気を集めている。名店の味を家で楽しめるお取り寄せは、「ラーメン屋断ち」に苦しむファンたちの救いの手となっているようだ。ラーメン通販の人気ぶりに迫った。
【年間100杯食べる強者も! 横浜家系ラーメン総本山「吉村家」の直系店以上に直系の味 店主のこだわり】
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オンライン飲み会の定番の話題のひとつ「コロナが去ったら、どこ行きたい?」。国内旅行や飲み会に交じって、「ラーメン屋」という答えをけっこう聞く。ラーメンの食べ歩きが唯一の趣味という、知り合いの男性会社員(40代)もぼやく。
「外出自粛で、こんなに長い間、ラーメン屋断ちをするのは初めて。大雨の日も炎天下も、ラーメンの行列に並んできたのに、禁断症状が半端ないです」
かたやラーメン店も、ほかの飲食店同様、4月7日の緊急事態宣言以降、売り上げ7割8割減は当たり前という、未曽有の大ピンチに見舞われていた。つけ麺の有名店六厘舎(ろくりんしゃ)も、休業や短縮営業などにより1カ月で約1億円の赤字が出たという。同店店主の三田遼斉さん(44)はこう振り返る。
「お客さんにとって喜びだったはずの外食が、突然リスクに変わってしまった。どこのラーメン店も、先が見えない状態でした。お客さんや困っているほかのラーメン店のために、うちができることは何か。そう考えて再始動したのが、ラーメンの通販サイトでした」
実は同社は、十数年前にも冷凍ラーメン専門の通販サイトを展開。お店の味を家庭に届けるビジネスモデルをいち早く作り、人気サイトに育てた。ところが競合としのぎを削るようになり、14年に撤退した。
その同社通販サイトの帰ってきた令和版「お家ラーメン」が5月中旬にオープンした。六厘舎のつけ麺はもちろん、がっつり系ラーメン店千里眼(東京都目黒区)、またミシュランガイド東京でビブグルマンに選ばれているカネキッチンヌードル(同豊島区)など、今回初めてラーメン通販に参入した店もある。六厘舎の卒業生の店や、友人のラーメン店主などに声をかけて集めたという。
「売り切れごめん」で随時ラインアップを入れ替えながら、サイトには10店舗前後の冷凍ラーメンが並ぶ。外出自粛で行き場を失ったラーメンファンが押し寄せ、サイトがオープンしてまもなく、またたく間に売り切れた商品も少なくない。
売り切れといえば、10年にオープンし、今や掲載店舗150店、会員数20万人の最大手として知られる冷凍ラーメンの通販サイト、宅麺.comにも、コロナ禍以降、ラーメンファンがどっと押し寄せている。サイトにアクセスすると、ほとんどの商品が売り切れ。同サイトを運営するグルメイノベーションの代表取締役・野間口兼一さん(45)は、こう説明する。
「コロナ禍による需要の爆発で、毎日在庫を更新しても、1~2時間で売り切れてしまう状況が続いていました。現在はツイッターやインスタグラムで販売時間をチェックしてもらえれば、買える商品は増えています」
(ライター・福光恵)
※AERA 2020年6月15日号より抜粋
【見切り発車で開業、試食会では「美味しくない」… 横浜の人気ラーメン店が「つけ麺」にこだわったワケ】
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