AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
【やぎ座は「小さな自傷行為」で幸せのバランスを取っている しいたけ.さんが分析】
* * *
Q:あとひと月で20歳が終わります。1年浪人して、昨年大学生になりました。大学で何を頑張ったか、と考えていたら、思いついたのは19歳の時の出来事ばかり。今年自分は何をしたんだろう。あとひと月で何ができるだろう。迷いと、大きい不安と小さい不安。こんな年があってもいいのかな。何ができるか、勝手なプレッシャーもじわじわと。(女性/大学生/20歳/てんびん座)
A:今年は全員が「遭難」に近い状態にあったと思います。例えばおはようってあいさつして、2、3言話すとか、人の顔を見るってすごく大事な儀式だったんだなと気づかされた。完全に人と会えない状況にいると、考えなくていいことも考えて、自分で抱えすぎてしまうことがあります。
あなたの場合、20歳というメモリアルな年齢で、なおさらだったかもしれません。
人ってどうして頑張れるのかというと、変化があるから。頑張ると結果が変わるとか、周りの人の扱いが変わってくるとか、変化が見えるからこそ頑張れる。遭難状況でつらいのは、無変化なことです。多くの人は「何のために頑張るんだろう」という気持ちが強くなったと思います。
ただ、いい方向で捉えるとすれば、この強制的に遭難させられた期間は、挫折訓練になるんじゃないかなとも思うんです。人生の中で挫折はいつ襲ってくるかわかりませんが、挫折に陥ったときに最初に出てくる言葉は「こんなはずじゃなかった」です。自分が期待していた変化や努力のイメージに対して、1%ぐらいしかできなかったら、自分にがっかりするし空白感や、虚無感が出てきてしまう。挫折に対する備えをどうやるか。
僕もやっているんですが、お勧めしたいのが瞑想です。目を閉じて、息を吸うときに1、吐くときに2、また息を吸うときに3って数えて、数字に集中する感じ。その間、今の自分の事情から離れることができます。いろんな心配事や抱えている問題から離れられる。24時間毎日自分を抱え続けるのは、むしばまれていくというか自分の気持ちが傷んでいくことでもあるから。瞑想で自分の事情から離れて、自分を修復することができるんです。1日5分でいいから、やってみてください。
瞑想中、いろんな妄想が出てきても放っておいて。何の動きもない状態で、自分全体のボリュームを下げていくイメージです。気持ちがしずまってくると、あ、ここに糸口があるじゃん、と気づかなかったチャンスを掴める。
経営者でもアスリートでも、チャンスを掴んでいく人は、調子がよいときも悪いときも、マインドのコントロールを欠かさずにしています。
てんびん座は対策を取れなかったことに対してすごく恥じる人たちです。とてもつらい状況でも「すべて自己責任」と思ってしまうことがあるので注意してください。今の状況はあなたのせいではありません。あと、状況が動きだしたときのために体力を回復させておくのも今は大事です。
【しいたけ.さんが助言する、事故や人の転機の場に遭遇しやすい「見届け人」の負担を減らす術】
しいたけ./占師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
※AERA 2020年11月2日号
外部リンク