「今季から選手会長を務めることになったんです。チームのみんなも、僕の性格が真面目なことは分かってくれていたので、『トモが選手会長になったらいいよ』と言ってくれて。
「3週間に及ぶ沖縄トレーニングキャンプが終わったときも、お世話になった金武町の方々を前に選手会長として選手を代表して挨拶をする機会がありました。またシーズン開幕前には、ペア マティアス ヘグモ監督と一緒に、埼玉県庁とさいたま市役所を表敬訪問して、県知事や市長と話をする機会がありました。
「その本には、人は上っ面というか表面的なところばかりを鍛えようとしているといったことが書かれていました。話し方や伝え方といった表現方法を学ぼうとしている人は多いかもしれないけど、それではどこか言葉に心がなく、嘘っぽいというか、軽く受け取られてしまう傾向があると。確かにな、なるほどなって思って」
「例えばですけど、文章が決してうまくなくても、きれいじゃなくても、心に響く言葉ってあるじゃないですか。心の底から訴えていたり、発信しているから、周りの心に残ったり、重みがあるというか。僕自身も、以前からそうした生きた言葉が大事だと思っていたのですが、まさにその重要性を説いてくれている一冊でした」
「まだまだですけど、思っている言葉が出てくるようにはなりました。もともと人と話をするのは嫌いではなかったですけど、形式にとらわれることなく、自分の言葉で伝えようと思えるようになってからは、今まで以上に瞬間的に言葉が出てくるようになってきた感覚はあります」
「チームメートと会話をしていくうえでも、自分の考えや思いを素直に、即座に、かつ綺麗に伝えることができれば、内容や意図も理解してもらいやすいと思っています。また、心のうちに秘めている思いをさらけ出していくことは、日ごろの人間関係を築くうえでも大事ですからね」
(取材・文/原田大輔)