エネルギッシュな男が、大原サッカー場に帰ってきた。
今年1月に期限付き移籍をしたベルギー2部のKMSKデインズから復帰することが6月1日に発表された宮本優太が、元気な姿を披露しているのだ。
半年ぶりに会った宮本は、もともと筋肉質の肉体がさらにガッチリしたように見える。
「向こうでは全体練習の前に筋トレがあって。それプラス、自分でも試行錯誤しながら外国人選手に負けない体作りをしていました」
もちろん、半年間の武者修行の成果は、鍛え抜いた肉体だけではない。ピッチ内のプレーにおいても、宮本は手応えを滲ませる。
「常に向上心を持ってトライしていたので、練習からアシストの回数が増えていました。そういう攻撃のクオリティの部分は見てほしいですし、向こうでも体力と運動量は“クレイジー”扱いされるくらい、みんなから認めてもらっていました。マチェイ(スコルジャ)監督も運動量を求めているので、そういうところは変わらず披露していきたいです」
こうした言葉を聞けば、『早く優太がプレーしている姿を見たい』と思うファン・サポーターの方々も少なくないはずだ。
ただし、宮本の公式戦出場は、しばしお預けとなる。
2023シーズンの第2登録期間は7月21日から8月18日まで。7月21日以降で最初の公式戦となる8月6日の横浜F・マリノス戦(7月12日の天皇杯3回戦・モンテディオ山形戦に勝利した場合は、8月2日の天皇杯4回戦)まで、宮本がプレーする機会はないのだ。
「だから今は練習生みたいなものですね(笑)。帰国して2週間くらい休んだんですけど、それでもまだ2カ月間くらい出られない。『もっと休んでもいいんじゃない?』って言われましたが、コンディションを上げるには練習したほうがいいし、ウズウズしちゃって」
ただでさえ成長した姿をファン・サポーターに見せたくてはやる気持ちを、さらに刺激する出来事があった。
6月24日の川崎フロンターレ戦の後半途中から、流通経済大学の1学年先輩の伊藤敦樹と同期の安居海渡のふたりがボランチを組んだ。その様子をスタンドから眺め、自然と気持ちが奮い立った。
「海渡と敦樹くんがボランチを組んでいて、すごいなって思うのと同時に、俺ももっと頑張らないとなって。海渡は昨年、自分と同じように悔しい思いを味わいながら1年間戦ってきて、今はスタメンに定着している。海渡の能力が認められて嬉しい反面、悔しい気持ちもありますね」
帰国後には、酒井宏樹と食事に行く機会があった。そこで憧れの存在から、「俺もシーズンをフルで戦える体や年齢ではなくなってきたから、ミヤにも絶対にチャンスがある。お互い高め合っていこう」と声をかけられた。
「去年もずっと『宏樹さんを超えたい』と言っていたものの、正直、心の中でどこか、自分は宏樹さんの代役にすぎないって、線を引いていた。でも、ベルギーで揉まれたことが自信になっているので、今年は本気で超えなきゃいけないと思っていますし、宏樹さんを超えないと、自分の目標にはたどり着けないと思っています」
チーム屈指の走力を誇り、リカルド ロドリゲス前監督から「ランニングマン」と呼ばれた右サイドバックは、再び埼玉スタジアムのピッチを駆け回る日を待ちわびながら、その牙を研いでいる。
(取材・文/飯尾篤史)
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