いまやチームを支える柱になりつつある。ペア マティアス ヘグモ監督は「非常によくなっている」と手放しで褒め、5月15日の京都サンガF.C.戦から9試合連続で先発出場。自らも成長を実感している安居海渡は、手応えを口にする。
「監督からは『周りが見えるようになり、インサイドハーフでボールを受けたときにワンタッチパスではがすことができている』と言われました」
戦術理解を深め、頭の中でポジショニングが整理されたのは大きいという。不明点があれば、マティアス監督にもためらうことなく直接聞きに行く。必要なコミュニケーションは欠かさない。むろん、褒められるばかりではなく、改善点も指摘される。
「『ボールを持ったときに前に運ぶことができれば、もう一段階上の選手になれる』って。自分でもそう思います。アンカーに入るときは『ターンして、素早く前につけるのは大事だ』、『きょうはツータッチでプレーしよう』と指示されることもありますし、いろいろ要求されています。僕にはまだ足りないところがあるので」
それでも、マルチロールプレーヤーの存在感は大きくなるばかり。フォーメーションが4-1-2-3、4-2-1-3と変わっても、与えられた役割をしっかりこなす。インサイドハーフに始まり、アンカー、ボランチ、トップ下でも最後までハードワークし、先発した11試合中7試合はフル出場している。
「ボランチが本職」と話していたのがいまは昔。転機はプロ2年目だった。トップ下で新境地を開き、プレーの幅を広げたことが生きている。
「どのポジションでもプレーできるのが一番いい。ただ、どこも普通であれば、必要な選手にはなれないと思っています。違いを出さないといけない。前に出て行ったときはシュートを決めないといけないし、球際での強さももっと出していきたいです」
逆転負けを喫した7月6日の湘南ベルマーレ戦はボランチでフル出場し、リードしたときのゲームコントロールの必要性を痛感。シーズン途中に経験豊富な酒井宏樹、アレクサンダー ショルツ、岩尾憲らがチームから離脱した事実を冷静に受け止め、自らに言い聞かせていた。
「誰がチームをまとめるんだって。僕はキャプテンではないですが、キャプテンのように振る舞ってプレーしないといけない。ピッチの真ん中に立つ選手からの発信が必要だと思っています。ボランチは、そういうポジション。
これまではチーム状況が悪いときはベテランのキャプテン、副キャプテンが声をかけてくれましたが、いまはその役割を自分たちの世代が担わないといけません。その意識は強く持っています」
(取材・文/杉園昌之)
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