長野市のホクト文化ホールは21日、能登半島地震の被災地を支援しようと「オーケストラ・アンサンブル金沢」(金沢市)のメンバーによる「春の調べチャリティーコンサート」を開いた。同オケが昨年末に同ホールで公演した縁から企画し、入場料と今後予定する映像配信の視聴料を石川県に全額寄付する。観客は繊細な音色に浸りつつ、被災者の心の平穏を祈った。
同オケのメンバー20人と、須坂市出身のソプラノ歌手小林香奈さんが出演。バッハの「G線上のアリア」やヨハン・シュトラウス2世の「美しき青きドナウ」など16曲を披露した。終盤には北信地方の高校合唱部から選抜した「北信リーダーズコール」とも共演。来場した534人は演奏が終わるたび、大きな拍手を送った。
地震を受けて同オケはニューイヤーコンサートの延期を余儀なくされ、関係職員の家族らには避難生活を送った人も少なくなかった。コンサートマスターの松井直(なおき)さん(58)は金沢市で道路が波打ち、電柱が倒れそうになった光景を見て「相当こたえた」という。
松井さんは「日々音楽を続けていられることに感謝している。音楽を楽しんで元気になってもらい、その傍らで被災地に心を寄せていただきたいと思って演奏した」。鑑賞した長野市三輪の鈴木寛さん(76)は「わざわざ遠くから来ていただき、ありがたい。親しみのある名曲が多くて楽しめた」と話した。
5月3日から10日間、ホクト文化ホールのホームページから有料(500円)でコンサートの映像を配信する。
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