自然災害で被災した鉄道施設などの早期復旧を支援する鉄道災害調査隊は22日、土砂流出があった長野市豊野町浅野のしなの鉄道北しなの線を調査した。現時点で被害が拡大する可能性は低く、運行への影響はないと判断。同調査隊は予防的対策をしなの鉄道(上田市)に助言し、同社は4月中に対応する考えだ。
同社によると、土砂流出は8~9日の大雨で発生したとみられる。線路から約5メートル離れた斜面が幅約7メートル、縦約5メートルの範囲で流れ、被害を確認した9日からブルーシートで覆っている。
流出現場を訪れた同調査隊の8人は、これ以上の崩落の恐れはないが、雨水を含むと近くの民家に流出する危険性が残ると分析。ブルーシートで覆う範囲を広げ、流出を防ぐ土のうを設置するなどの追加対応を提案した。
この日の調査範囲は、豊野(長野市)―牟礼(上水内郡飯綱町)間の7・8キロ。上水内郡飯綱町では、付近を流れる鳥居川の影響で護岸が削れた区間があることも確認した。同調査隊は助言とは別に、土砂流出や護岸の本格的な対策を盛った報告書を作り、同社は可能な対応を検討する。
同調査隊は昨年4月、鉄道・運輸機構(横浜市)内に発足。県内への派遣は初となる。しなの鉄道運輸部工務課の柳沼聡課長(52)は「地方鉄道の専門人材が限られる中、合理的なアドバイスをもらえて助かった」と述べた。
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