■経営多角化へ品質追求狙う
エンジン用ピストン製造のアート金属工業(上田市)は16日、初めて自社栽培したコーヒー豆でコーヒーを入れ、社員で試飲した。電気自動車(EV)の普及でピストンの需要減少が見込まれる中、経営多角化の一環として着手。味わいに磨きをかけ、将来はカフェや観光農園を設けるなど構想を膨らませている。
上田市常磐城の本社敷地内に農業用ハウスを設置し、岡山市の企業から購入した40本の苗木を昨年6月から育てた。今年3月下旬までに約500グラムの実を収穫。取り出した種を、亀山珈琲焙煎(ばいせん)所(上田市)店主の亀山陽介さんに焙煎してもらった。
コーヒーを味わった三城(さんじょう)伸五社長は「1年目だがいい香り。レベルを上げ、コーヒー通の方にも『いいじゃないか』と言ってもらえるようにしたい」と話した。
ものづくり企業だけに、ハウスには室温などを検知し自動で天窓やカーテンを開閉する仕組みを導入。空調には地中熱を活用し、栽培に当たって省人化や二酸化炭素(CO2)削減にもこだわった。苗木は現在、高さが最大で2・5メートルほどまで成長し、来期の収穫は今冬の10倍近くまで増える可能性があるという。
カフェなどを設ければ、「近くの上田城跡公園を含めて利用客が周遊できる」と三城社長。経営企画部の担当者は「ピストンと違い、コーヒーはBtoC(一般消費者向け)だが、品質を追求する点は同じ。顧客満足度の高いコーヒーを提供できるようにしたい」としている。
外部リンク