上田市古安曽の戦没画学生慰霊美術館「無言館」は29日、恒例の成人式を同館で開いた。県内外から公募で集まった18~24歳の16人が出席。決意を胸に、新たな一歩を踏み出した。今回は事前に提出してもらった自己紹介文を基に、メインゲストの映画監督周防正行さん(67)=東京都=が16人それぞれに直筆の手紙を用意した。
周防さんは、手紙を「これからきっと大変だろうけど、応援している大人がいるぞ」との思いでしたためたという。一人一人に直接手渡した周防さんは、戦没画学生の絵を心に刻み、人生で迷った時や絶望した時には「もう一度無言館を訪れ、今の自分の気持ちを思い出してみて」とした。「皆さんの未来が素晴らしいものになるように祈っています」とも述べた。
式では他に、同館館主の窪島誠一郎さん(82)が自作の詩「無言の詩(うた)」を朗読し、節目を祝福。地元出身のコカリナ奏者黒坂黒太郎さん(74)らによる演奏もあった。
上田市出身で東京学芸大4年の松沢実佑(みゆう)さん(21)は、「『おめでとう』と言ってもらえて大人になることが喜ばしいことだと感じられた一日だった」とし、「自分もいつか、成人を迎えた人たちに自信を持って『おめでとう』と言える大人になりたい」と話していた。
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