諏訪市湖岸通りのサンリツ服部美術館で23日、企画展「道具と飾りにみる煎茶のたのしみ」が始まる。茶葉にお湯を注ぐための「茶銚(ちゃちょう)」と呼ばれる急須など初公開の14点を含む計約60点を展示。中国からの外来文化として、幕末から明治にかけて特に盛んだった煎茶の世界を伝えている。
美術館によると、明、清時代の中国では知識人が詩や書画の制作に興じつつ、煎茶をたしなむことが流行した。その影響で国内でも、教養を持つ人々を中心に愛好されるようになり、料亭や野外で茶会が開かれたという。
初公開の「梨皮泥倶輪珠(りひでいぐりんだま)茶銚」は中国・清時代の作品。高さ約7センチでナシの皮のような独特の色合いが目を引く。炭で火を起こす「涼炉(りょうろ)」の「白泥詩文子母四方炉(はくでいしぶんしぼよほうろ)」は江戸時代後期の陶工、青木木米(もくべい)(1767~1833年)が手がけた。
会場に並ぶ煎茶用の湯飲み茶わん「茗碗(めいわん)」は内側が白く、茶の味や香りに加え、色を楽しむようになったことが影響しているという。煎茶席では会場を調度品で飾るのも特徴で、企画展でも書画や工芸品、花などが飾られた様子を紹介した。
学芸員の藤生(ふじう)明日美さん(38)は「私たちがふだん煎茶を飲むスタイルとはまた違った文化があったことを知ってほしい」と話している。7月21日まで。月曜休館(月曜が祝日の場合は開館)。入館料は大人1100円、小中学生400円。
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