今回の大雨被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞いを申しあげます。
広島は何度も特別警報が出るなど、かなりの雨に晒された。ただ、筆者に対してもご心配を頂いたが、安全は確保できている。ありがとうございます。
さて、書きたいのはドウグラス・ヴィエイラ(以下ドグ)のことだ。4月10日の対湘南戦で足を傷めて以来、練習に復帰しては離脱の繰り返し。6月19日、対柏戦でリーグ戦復帰を果たしたが、以降の3試合でわずか24分の出場。そして7月11日の対横浜FC戦でまたも負傷し、今はリハビリの毎日だ。
彼が普通の状態でフル回転していれば、今の広島の戦績はない。今季、彼が先発した試合の戦績は3勝4分1敗平均得点1.63で、彼が先発していない試合の平均得点は0.80。自分が点をとれなくてもチームに得点をもたらすのが、ドグの真骨頂である。クロスボールに対する強さ、安定したポストプレー、前線からの守備、周囲の力を引き出す知性。コンディションさえ整っていれば、ドグは一流のCFだ。
チーム最古参トレーナーである野村博幸氏の指導のもと、復帰に向けてリハビリの強度もあげていた(8月7日撮影)
「もう痛みもない。メディカル的にも問題はないよ」
8月11日、負傷後初めてミニゲームに参加したドグは、笑顔で語った。痛みに敏感で慎重な彼の言葉だ。信用に値する。
「あとはフィジカルコンディションをあげ、監督が自分を選択する状況をつくりたい。とにかく試合に出たいんだ」
城福浩監督は「できるだけ早く(試合に)復帰させたいのは山々だが、ケガの状態を後戻りさせたくない」。今までの経緯から監督としては慎重にならざるを得ないが、ドグの意欲は満々だ。
「今のジュニオール・サントスと一緒にプレーできたら、面白いことができそうだなという予感はあるよ。とにかく1日も早く100%の状態に戻して、チームに貢献したい」
「ドグ、ありがとう」
取材のお礼を告げると、ドウグラス・ヴィエイラはこの言葉を筆者に残して、クラブハウスへと向かった。
「自分はできる。そう信じている」
ドウグラス・ダ・シウバ・ヴィエイラ
1987年11月12日生まれ。ブラジル出身。2016年、東京ヴェルディに加入。2017年は18得点、2018年には13得点を記録。特に2018年はJ1昇格プレーオフ2回戦・横浜FCとの決戦で90+6分にゴールを決め、クラブの11年振りとなるJ1復帰にあと一歩と迫った。残念ながら磐田との決定戦で敗れてしまったが、この年の活躍が評価されて広島移籍が決定。温厚な人柄でブラジル人選手たちの信頼を集め、彼らのリーダー役として牽引している。
【中野和也の「熱闘サンフレッチェ日誌」】