【女子テニス】シングルスで国際大会優勝の加藤未唯。「絶賛改善中」のサーブで新シーズンへと切り込む
「サーブは今、絶賛改善中なんです」
加藤未唯がそう明かしたのは、12月19~25日に京都市で開催された、島津全日本室内選手権。シングルスの本戦初戦で、大前綾希子に快勝した後のことだった。
この日の加藤はサーブが良く、相手にブレークポイントすら与えない。本人も「今日は、サーブのリズムがすごく良かった」と、会心の笑みをこぼした。
加藤がサーブの改良に取り組み始めたのは、大会が始まる前の週。
「いつか直さないとねと話していた」という課題に一つの指針が通ったのは、本人の意外な一言からだったという。
「サーブを打った後、左足のすねにラケットが当たるという話を(コーチたちに)したんです」
過去にはフォロースルーのラケットが当たり、すねに傷がつくことも。その経験から生まれた改善方針は、文字通りのケガの功名だろう。
加藤が練習拠点とする兵庫県三木市のビーンズドームには、多くの指導者や選手が集う。
それら選手たちも意見を出し合い、「打つ時に身体が前に向いてしまっているからでは?」との仮説を立て、改善策を模索した。
2回戦の対土居戦。デュースサイドからセンターに打ち込みサービスウイナーを奪う
「右足を軸足に寄せる時に身体が前を向いてしまうので、まずは、向かないように意識するところから始めました」と加藤。
トスを上げるリズムにも、多少の変更を加えた。
その成果を実感しながら、今大会でまずは予選2試合を突破。
翌日は試合が無かったため、京都からビーンズドームへと通い、コーチたちのチェックや助言を得た。
初戦の大前戦で会心のサービスゲームが展開できたのは、勤勉な練習態度の賜物だろう。
さらに2回戦、第1シードの土居美咲戦では、苦しみつつも要所では好サーブを放ち、難局を切り抜けた。
アドサイドから。ワイドにピンポイントでサーブを打ち込み、浅い返球をフォアで叩いてウイナーを奪う
大会終盤に向かうにつれ、サーブのリズムがずれ始めたのは、「まだ覚えたてなので、ちょっと忘れてきちゃった」から。
「トスもちょっとリズムが合わなかったりして、やっぱりまだ自分のものにできていない」
そう振り返ったのは、決勝戦後。そう……シングルスの予選から出場した加藤は、7つの白星を連ね、頂点まで駆け上がったのだった。
新サーブの習得度は、本人曰く、「まだ3~4割」。
「出発まで、まだ時間がある。それまでに、もうちょっと自分で出来るようにしなくては」と視線を向ける新シーズンへの旅立ちは、年も明けぬ29日。
磨きをかけたサーブと、シングルスでも得た自信を胸に、新たな戦いはもうすぐ幕を開ける。
加藤未唯(かとう・みゆ)
1994年11月21日生まれ、京都市出身。2017年全豪OP複ベスト4、同年ジャパンウィメンズオープン単準優勝。2022年11月、慶應チャレンジャーで準優勝しシングルス復帰を印象付ける。
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