現スーパーフライ級アジア&東洋の2冠王者の橋詰将義にとってキャリア最大のビッグマッチが決まった。
6月29日、後楽園ホールで行われるWBOアジアパシフィック・スーパーフライ級タイトルマッチ、元世界3階級制覇王者の田中恒成との対戦だ。橋詰にとっては王者防衛戦という位置付けとなる。
「自分は今一番強いので良いタイミングです。もともと下の階級の選手だったので意識していませんでした。ベルトはこちらにありますが、チャレンジする気持ちですね」
これまでの戦績は21戦19勝(11KO)2分の無敗。元世界王者に勝てば、さらに大きな実績と知名度、そして田中の持つ世界ランキングも手に入れることができる。
「自分の型にハマったら6ラウンド以内に倒せるビジョンが浮かんでいる」と強気な橋詰。その理由は練習を見ると納得できる。
ミット打ちでは試合を想定して、ガードをしながらコンビネーションを打ち込んでいる。特に目を見張るのがパンチのキレだ。キレを出すにはスピードが重要だ。
橋詰のパンチは特に引きが速いので、爆発するような音が鳴っている。「パワーはありません」と本人は話すが、タイミングで倒せるパンチだ。
倒せるパンチがあることで、相手は不用意に入ることができなくなる。経験豊富な田中に間合いを詰めることを許さなければ、キレのある打撃とラッシュで勝利を掴むことは十分に考えられる。
「元チャンピオンに勝つのが目的でない。通過点だと思っている」
本人にとってはあくまで世界までの過程。虎視眈々と牙を研ぎ、元世界王者撃破を狙う。
橋詰将義(はしづめ・まさよし)
大阪府松原市出身、28歳、 角海老宝石ボクシングジム所属、2014年度全日本スーパーフライ級新人王、第39代OPBF東洋太平洋スーパーフライ級王者、WBOアジアパシフィックスーパーフライ級王者。戦績は21戦19勝(11KO)2分。
【木村悠「チャンピオンの視点」】写真、動画提供=©甲斐 誠