(写真:学習院大学文学部史学科を卒業された天皇陛下)
2月23日、62歳の誕生日を迎えられる天皇陛下。誕生日に公表される会見の回答では、成年皇族となられたばかりの愛子さまへのお言葉にも注目が集まる。
現在学習院大学に通われる愛子さまと同じく、幼稚園から大学まで学習院で過ごされてきた陛下は、どのような学生だったのだろうか。大学の卒業アルバムをめくると、「徳仁親王」というお名前の下に「歴史の研究を続け、先人の足跡を学びながら未来への展望につなげたい」と陛下のコメントが添えられていた。
学習院時代の印象をご学友に聞くと、「お人柄については、非常にいいやつの一言です」という。
「今では『いいやつ』などとは決して申せませんが(笑)、当時の感覚ではこの表現がいいと思います」
陛下と話し始めたきっかけは名前を聞かれたことだった。当初はどうお呼びしていいかわからず、「浩宮さま」と呼ぶと、陛下から「やめてよ、同級生でしょう。僕の名前は徳仁だからナルと呼んでほしい」と言われ、それ以来気軽に会話をするようになった。
■散髪もお弁当作りもされていた美智子さま
「高等科時代のことですが、『ナルは散髪行くのも大変だろ?』と尋ねると、『おふくろが切ってくれている。レザーカッターで』とおっしゃっていて驚きました。そしてお弁当は当時珍しかったフランス製の密閉容器に、おかずがきれいに入れられていました。そのお弁当も、おふくろ、つまり美智子さまが作られていたとのことでした」
お弁当を召し上がらない日は、校内の食堂を利用されていたという。
「陛下はカツ丼をよく注文されていましたね。食堂のトンカツはまるでハムカツのように薄かったので深く印象に残っています」
大学時代のご学友からは、こんなエピソードも。
「大学時代は、陛下が食堂で150円のきつねうどんを召し上がっていたのをお見かけしました。ほかの学生に交じり、順番に並ばれていましたね。学食にもお付きの護衛の方が一緒に来るのですが、護衛の方はガッツリしたものを食べているのに、陛下は割と少なめだなと思いました」
■『平凡パンチ』『プレイガールQ』にご興味を示されて
陛下と会話を重ねていくなかで、好奇心旺盛な一面が垣間見えることもあった。
「友人グループで雑談をしているときに、『ナル、今いちばん何したい?』と聞くと、『みんなと茶店(さてん=喫茶店)でお茶したいし、本屋に行って“平パン”とか立ち読みしてみたい』とお答えになりました」
“平パン”とは平凡出版(現・マガジンハウス)が発行していた、若者向けの週刊誌『平凡パンチ』のことだ。また、あるときには、陛下が「一度でいいから、『プレイガールQ』を見てみたいんだ」とおっしゃったこともあったという。少しお色気シーンもあり、高校生に人気だったアクション・ドラマだ。
「陛下が最初に『深夜テレビ、見たことある?』とお尋ねになってから、21時枠で放送されていた『プレイガールQ』の名前を出されたので、陛下にとっては21時は深夜という感覚なのかもしれないと思いました」
当時の東宮家(現・上皇ご一家)の方たちは、夕食の時間はご家族で過ごされ、20時になると私室に戻られていたのだ。テレビは、弟の秋篠宮さまが好まれていたウルトラマン・シリーズなどを一緒にご覧になっていた。その後は、陛下も私室に入られご自身のことや勉強などをされていたという。
「学習院の教室や講堂には、警備のために外から中の様子がうかがえる覗き窓がありました。同じようにお住まいの東宮御所にも覗き窓があったそうです。そのうえ30分に一度、私室でのご様子を確認する見回りがきていたというのです。公人としては果たせない、普通の若者の日常への淡い憧れがあったのではと思います」
大学卒業までを振り返り、ご学友は「ニックネームで呼び合い、友人たちと集まったときには、同じような感覚で会話に参加してくださる陛下に身近さを感じていました」と話す。
学生時代からご友人たちと、フランクなご交流を続けられていた天皇陛下。ユーモラスで気さくなお人柄は、令和の「国民の中に入っていく」皇室の姿につながっている。