11月24日、天皇ご一家は東京国立博物館をご訪問 /(C)JMPA
東京大学医学部附属病院の門から車で出てくる際に、いつもと同じように窓を開けて会釈されていた天皇陛下。しかしそのご表情には、心なしかお疲れのご様子が浮かんでいたーー。
11月27日から28日にかけて、前立腺の組織を採取する検査(生検)のため、陛下は東大病院に1泊2日で入院されていたのだ。陛下はこれまでの検診で、前立腺に関する数値に“やや懸念すべき傾向”が見つかっていた。
11月初旬にMRI検査を受けられた後に、宮内庁は「前立腺の肥大が認められたが、特に懸念される所見はなかった」と発表していたが——。
「幸い今回の検査でも、がん細胞は見つからず、異常は認められませんでした。雅子さまと愛子さまもこの間心配されてきましたから、安堵されたご様子だったと聞いております」(宮内庁関係者)
今回陛下が受けられた生検とは、病変が疑われる体の一部を採取し、顕微鏡などで精密に調べるもの。体にかかる負担も大きい検査だという。泌尿器科の専門医である飯田橋中村クリニックの中村剛院長はこう話す。
「前立腺の生検は、下半身を超音波で確認しながら、多い場合は数十カ所にわたって針を刺し、組織を採取します。部分麻酔や全身麻酔をして行いますが、麻酔が切れると痛みを伴うこともあります。
一般的には、MRI検査で前立腺がんの所見がなければ生検を行わないケースが多いです。しかし、画像だけを見ての診断では、絶対に見落としがないとは言い切れません。陛下の場合は、念には念を入れて生検を受けられたということなのでしょう」
異常が見つからなかったとはいえ、雅子さまや愛子さまのご不安がすべて晴れたわけではない。前出の宮内庁関係者は、
「上皇さまが前立腺がんの手術を受けられた前例もありますから、今後も慎重に経過観察を続けられることになりました。しかし陛下はご公務や宮中祭祀など、多くのお務めを日々こなされています。激務のためにご体調を崩されないよう、ご一家で健康管理に努められる決意を新たにされているように拝察しています」
体調への不安を抱えられる陛下をお支えするために、すでに雅子さまは行動を起こされていた。
「皇居の外で開催される行事の際は、当初は“陛下お一人で”と公表されていても、当日に“両陛下でお出ましになる”となって、雅子さまがご出席されるケースが増えています。
たしかにいまも、雅子さまのご体調に波があることは事実です。しかし、国民との交流や、海外からの賓客をもてなすような大きな行事が控えている場合、体調を整えて確実に出席され、皇后としてのお務めを果たされています」(前出・宮内庁関係者)
■“令和流皇室”の方向性を象徴する出来事
そして、“予定になかったお出まし”が激増していることは、雅子さまが“どんなときも陛下をサポートしたい”というご決意を固められている証しでもあるーー。
陛下ご入院の前日26日に、両陛下はボーイスカウト日本連盟創立100周年記念式典に出席されている。これも当初は、天皇陛下のみが出席されると発表されていた。
「同連盟にとって節目の行事でしたから、両陛下のご臨席を宮内庁に要請していたそうです。ただ、ボーイスカウトの関連行事には男性皇族が出席することがほとんどで、雅子さまが出席されたことに、取材現場では驚きの声が広がりました」(皇室ジャーナリスト)
天皇陛下のご退院後、両陛下は11月30日に、来日していたモンゴルのフレルスフ大統領夫妻と御所でご会見。その後都内で開かれたモンゴル国立馬頭琴交響楽団の演奏会に招かれ、鑑賞されている。前出の皇室ジャーナリストは、両陛下が海外からの賓客とお会いになる場面に、ある画期的な変化があったと指摘する。
「先月16日にポルトガル議会のサントスシルバ議長夫妻と御所でお会いになったときから、丸テーブルを囲むような形で、両陛下と賓客がお話しされています。モンゴル大統領夫妻と会見されたときもこの形でした。
昭和と平成のころは、横一列にいすに座り、男性と女性に分かれて会話する形式でした。
しかし両陛下は夫妻が一緒に会話に参加できるようにと、丸テーブルを囲むスタイルに変えられたというのです」
さらに、モンゴル大統領夫妻との会見では、雅子さまが会話をリードされる場面があったという。
「会見の前に大統領夫人が都内の小学校を訪問しており、雅子さまが『どうでしたか?』とお聞きになって、夫人との対話が始まり、それに陛下と大統領が耳を傾けておられたそうなのです。会見が終わってみると、全体で30分程度あった所定時間の後半は、夫人同士のやり取りが多かったと……。
皇后である雅子さまが、天皇陛下と対等な立場で会見に臨まれているとも言えるのではないでしょうか。陛下と雅子さまが手を取り合い、並んで賓客をもてなされるという“令和流皇室”の方向性を象徴するような出来事であったと思います」(前出・宮内庁関係者)
■愛子さまが続けられる“ジョギング伴走”
12月9日には、雅子さまは59歳の誕生日を迎えられる。先立つ12月1日に21歳になられた愛子さまも、陛下をおそばで支える日々を過ごされているようだ。
「お誕生日に当たって報道陣に配布された文書には、愛子さまが陛下のジョギングへの伴走を続けられていることが改めて記されていました。ご体調に波がある雅子さまに代わって、昔から体を動かすことがお好きな愛子さまが、陛下の運動をサポートされる形ができあがっているのでしょう。
さらに文書では、11月上旬にご一家で皆既月食と天王星食をご覧になったことが明かされました。このことからわかるのは、雅子さまと愛子さまは、朝でも夜でも陛下のおそばにいらっしゃり、ご一緒にお時間を過ごされているということです。“24時間陛下をサポートする”という雅子さまと愛子さまのご決意のあらわれなのだと思います」(前出・皇室ジャーナリスト)
コロナ禍のために、愛子さまが20歳の間に、皇居の外にお出かけになったのはたったの3回。先月下旬に東京国立博物館をご一家そろって訪問されたが、成年や新年のご挨拶のため上皇ご夫妻をお訪ねになったときを除き、愛子さまは一貫して外出を自粛されてきたのだ。
「じつは、今回のお誕生日の文書の情報量が昨年よりもかなり増えていたのです。愛子さまは、伊勢神宮へのご成年の奉告という皇室のならわしも、いまは控えられています。両陛下、そして皇室へご自身のすべてを捧げておられるのです。そんな愛子さまの動静を、少しでも国民に伝えたいという両陛下のご意向が反映されているのだと思います。
東京国立博物館を訪問された際、陛下は『ゆっくり3人で豊かな時間を過ごすことができて、感謝します』と、本当にうれしそうに博物館の職員にお話しになっていました。雅子さまと愛子さまが支えてくださっていることへの感謝のお気持ちを、2年10カ月ぶりに3人で公の場に外出できたことで、一層深く感じられていたのでしょう」(前出・宮内庁関係者)
陛下と愛子さまは、12月3日にお忍びで学習院大学資料館をご訪問。三笠宮崇仁さまの日記類や直筆原稿などが公開されている展示会をご覧になった。
「さらに翌日4日にも、陛下と愛子さまはお忍びで都内の五島美術館を訪問され、平安時代末期の歌人・西行の特別展を鑑賞されました。4日の訪問については、当初愛子さまがお一人で訪問される予定でしたが、急遽陛下も同行されることになったそうです。
両陛下や愛子さまが皇居の外へお出かけになる機会は増えていく傾向にあります。外出を伴うご公務も少しずつ従前の数に近づきつつあり、両陛下のお体への負担も大きくなってしまいかねませんが、ご一家は力を合わせて支え合われ、乗り越えられていくのだと思います」(前出・皇室ジャーナリスト)
雅子さまと愛子さまの献身愛は、必ずや陛下のご体調への不安を取り去ってくれるはずだーー。