あっという間に冬がやってきた感のある日本列島。ガス代の高騰が続くなか、「節ガス」は各家庭で必須の取り組みになるはずだ。知恵をアップデートして、楽しく賢く節約をーー!
「電気料金の値上げ同様に、都市ガス各社のガス料金が軒並み上がっています。ウクライナ危機や記録的な円安などの影響で、原料の液化天然ガス(LNG)の価格上昇が続いているためです」
こう話すのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さん。
「1カ月でガスを30立方メートル使用すると仮定した場合、東京ガスの’22年11月検針分のガス料金は6461円。前年同月の4935円と比べて、1526円も高くなる計算です」
そして、この値上げの傾向は「少なくとも’23年前半あたりまでは変わらないでしょう」と柏木さん。
使用量が前年同様でも支出増。しかも、これから寒くなって使用量が増えることも予測され、想定外の大出費になる恐れが……。
そこで柏木さんと、節約ライターの三木千奈さんの2人の節約スペシャリストが、冬の“賢い節ガス”7か条を教えてくれた。
■お風呂の節ガス
【1】入るなら17時までに済ませる
「夕方以降の冷え込みが厳しくなる季節。まず、お風呂に入る時間帯は、17時台もしくは日の入りまでと決めましょう」と柏木さん。
夜遅い時間帯だと温水器の設定温度を41~43度にしたくなるところを、まだ日が残る時間帯であれば「設定温度が38~40度でも、寒い思いをすることが少ないと思います」。
電気・ガス比較サイト「エネチェンジ」発表のデータを編集部で試算したところ、次のような節ガスの目安を得られた。
1人1日15分×365日、シャワーを使用した場合、湯温の設定を3度下げると、家族3人なら「年間1万1496円の節ガス」に。
入浴時間自体の短縮が効果的と説明するのは、三木さんだ。
「シャワーを使うのは『5分』と決めておくなど、家族で“時短目標”を決めれば、無理なく節ガスできます。ダラダラと長い入浴ほど、ガス代がかさみます」
長いと追いだきもしがちに……。
「1回くらい追いだきしてもいいや、という小さな甘えが積み重なると、大きな支出に。『追いだきはしない』を基準に考えて」
【2】お風呂を出るときにホットタオルで体を拭く
さらには、「節水=節ガスと覚えるべし」と三木さん。シャワーヘッドで、節水機能が充実した商品を選ぶのもいい。
「お風呂から出る際、熱い湯につけてしぼったタオルでホットタオルの要領で体を拭くと、寒いからと温かいシャワーを浴び続ける必要がなくなります」(柏木さん)
【3】ソープやシャンプーの使用量を減らす
ボディソープの使用量は「1人ワンプッシュで十分」と三木さん。
「たくさんボディソープをつけてしまえば、それだけ洗い流すのに時間がかかります。シャワーを出している時間が長くなれば、当然ガス代がかかります」
柏木さんは、お風呂掃除用洗剤は「不要」だと説く。
「気温の高い時間帯に、手持ちブラシなどを使ってお掃除すれば、よほど汚れている場合以外は、水でも落ちます。ブラシがあれば洗剤もいらないくらいです」
■キッチンの節ガス
【4】下ゆでは「レンジアップ」で
「調理の下ごしらえでは、電子レンジを使いましょう」と三木さん。
経済産業省・資源エネルギー庁の調査では、じゃがいもや里芋など根菜の下ごしらえにガスコンロを使用した場合(9.48立方メートル)は年間約1540円のガス代がかかるが、電子レンジ使用の場合(22.01キロワット時)は年間約590円と、年間約950円もの節約になるという。
「シリコンスチーマーを器にして、野菜を入れ、軽くかける程度に水をまぶしてレンジアップ(=ガスゼロ)しましょう。さらにアイラップを使用することで、洗い物を減らすことも」
【5】炊飯器でおでんもゆで卵も作る
炊飯器も、工夫次第で節ガスになると三木さん。
「ゆで卵3つなら、お米を炊くときにといだお米の上に1個ずつアルミホイルにくるんだ生卵を置き、ふつうに『炊飯』ボタンでOK。固ゆで卵の状態に仕上がります。同じ要領で、じゃがいもなどの根菜も、ホイルして炊飯器で炊飯と同時にできます。また、鍋だと長く煮込む必要があるおでんも、炊飯器でおいしくできますよ」
ほかにも、圧力鍋を導入すれば「大幅に時短でき、節ガスになる」という。
「カレーなどは30~40分煮込まなければという場面で、わずか10分程度で調理でき、4分の1の時間で済んでしまうんです」
また、落とし蓋を使っての余熱調理も効果的だそう。
「いわゆる“味しみ”状態にするには、煮込んで長く『熱する』より、火を止めて『寝かせておく』ことが重要です。煮びたしもレンジアップで熱して、冷ましてから冷蔵庫に入れれば、味がしみます。冷製煮びたしの完成です」
【6】とにかく野菜は細かく切る
一方、食材の工夫に重きを置くのは柏木さん。
「煮物、炒め物の野菜は、細かく切ることで、火の通りが早くなります。また、大根は加熱しなくとも、大根おろしにして食べるなど、食べ方の工夫で節ガスできます」
さらに、フライパンを洗った後の水滴は、すぐキッチンペーパーなどで拭き取れば、「火にかけて水滴を蒸発させる時間を節ガスできる」という。
■ガスストーブの節ガス
【7】ジョイントマットで窓の下部をふさぐ
ガスストーブの使用を抑えるには、以下の方法があるとお2人。
「ジョイントマットで窓の下部をふさぐと、断熱でガスストーブの使用を抑えられます」(柏木さん)
「食卓でIH卓上コンロなどを使って鍋をすれば、部屋全体が温まりストーブいらず」(三木さん)
これらの“節ガス”法を試して、この冬、体もお財布も温かく!