「秋から値上げされるものの多くは加工食品。ということは、できるだけ加工食品は買わず、生ものは“使い切る”ことを意識すれば、値上げのダメージを最小限に抑えられます」
そう語るのは節約アドバイザーの和田由貴さん。
「家庭から出るロスの半分は野菜。皮ごと料理したり、半端野菜も使い切って。秋はお得な旬野菜が多く出回るため、余らせそうなら冷凍保存しましょう」
料理に欠かせない調味料は、PB(プライベートブランド)商品がおすすめだという。
「いまPBは安いだけでなく“本家”に負けず劣らず美味しい。“本家”のマヨネーズは450gで税込436円ですが、西友のPBなら400gで224円です」
食品ロスをなくすためにはスーパーでの買い回り方も大事。
「私はまず安売りしている旬の食材で献立のメインを決めます。献立作りが苦手な人やレパートリーが少ない人は、その場でスマホの画像検索を活用して。これで割高な『〇〇の素』を使わなくても、基本調味料と旬の食材だけでおいしく作ることができます」
注意点は、“食欲の秋”に負けないこと!
「スイーツやビール、ワインなど嗜好品の値上げは、家計に影響を与えがちなので注意が必要。“おこづかい”に計上し、その中でやりくりしましょう」
それでは和田さんも実践する【10の食費節約ワザ】を見ていこう。
【1】“食欲の秋”は食後に買い物へ
「お腹がすいていると、すぐ食べられる菓子パンやお惣菜などを買ってしまいがち。冷静に買い物ができる食後、とくに朝食後の午前中が狙い目です。夕方の遅い時間はNG」(和田さん、以下同)
【2】スーパーではまず肉、魚売り場をチェック
せっかく旬の魚が安く出回っていたり、肉の特売があったりするのに活用しなければもったいない。「買い物は、肉や魚売り場→野菜→加工食品の順に回りましょう。献立のメインが安く決まるだけでなく、無駄な野菜や食材を買う頻度が減ります」
【3】調味料や加工食品はPB商品を
値上げ幅の大きい調味料やハム、ソーセージ、チーズなどの加工食品は、PB商品を選択しよう。「PBは価格を据え置きしているスーパーがほとんど。メーカーの特売価格には負けますが、いつでも安く買えるのがありがたい」
【4】使い切りレシピ画像を活用する
旬の食材を安く手に入れても、量が多くて中途半端に余ってしまったりすることも。「スマホで“食材名+レシピ”で検索したあと“画像”にすると、レシピ画像が出てきます。画像だとイメージがつかみやいので、すぐレシピが見つかるはず」
【5】りんごの搾り汁を使って安い鶏肉を美味しく
鶏肉に下味をつけるとき、醤油や酒などと一緒にりんごの搾り汁を加えると、いつもより軟らかくジューシーに。「リンゴ酸という成分に肉の繊維を軟らかくする効果があります。肉500gに対して大さじ半分程度でOK。少しの絞り汁を料理に活かせば、高級肉に変身します」
【6】かさ増しに欠かせないきのこは冷凍保存
旬を迎えるきのこは特売になりやすく、秋の食卓の救世主! 和洋中どんな料理にも使えて腹持ちが良く、うま味が加わることで料理を美味しくかさ増しできる。「きのこは生のまま冷凍が可能。冷凍するとうま味が増すといわれています。しいたけやなめこはそのまま、えのきだけやしめじは石づき部分を切り落とし、小房に分けて冷凍。たくさん買っても日持ちしますし、使うときは凍ったまま加熱調理するだけ」
【7】余った野菜は「あんかけ」に
野菜の使い切りを徹底している和田さん。「野菜室に収納かごを置き、半端野菜を入れておけば、しおらせることがありません。半端野菜は刻んで炒め、とろみをつけてあんにし、メイン食材にかけると簡単にボリュームアップ。あんかけにすれば、どんな野菜でもメイン料理となじむので野菜室整理の定番です」
【8】豆苗や青ねぎ、ごぼうは再生栽培で再収穫
野菜の根元や切れ端を育てる再生栽培は、気軽に収穫を楽しめるという。「豆苗は根元を水につけておくだけで、2回ほど収穫できます。大根、かぶ、にんじんなどの根菜類も同じく水耕栽培で葉が出るので、スープの浮き実や料理の彩りに使えます。青ねぎは根元4cm程度、キャベツは芯を土に植えると再び伸びますし、ごぼうも発芽した茎を植えたら、細いごぼうを大量に収穫できました」
【9】食費は3:1に分けて管理する
食費の予算を守るには、1カ月の予算を3:1に分けて管理すること。「例えば月4万円の予算なら、3万円と1万円に分け、3万円は日々の買い物に、1万円をお米や調味料など長期で使う食品に充て、月1回まとめ買いします。そうすれば“予算を日割り計算していたのに月末に食費が足りなくなる”という失敗を防げます」
【10】秋の限定スイーツは“おこづかい”で買う
栗やさつまいも、かぼちゃなど魅力的な季節のスイーツが増える秋。9月1日からカルビーのポテトチップスや井村屋のあずきバーなど、お菓子やアイスも値上がりするが、和田家では嗜好品代は食費と別枠にしているという。「スイーツやお酒などの嗜好品は、家計ではなく“おこづかい”に計上します。“おこづかい”の中でやりくりすることで、自制心が働きますし、ドラッグストアなど、より安い店を選んで買うようになります」