95年、伊豆急下田駅にて(撮影:JMPA/本誌写真部)
雅子さまのひと工夫が加われば、ラフに見えがちな夏服も、ぐんと上品に。
「品格がありつつ、涼やかで機能性も重視された雅子さまのファッションは、肌を見せずに楽しむ夏のお手本といえます」
そう話すのは、ファッションライターの味澤彩子さん。ご成婚から30年間の、爽やかな夏の雅子さまを振り返ります。
「ご成婚当初は、ノーカラーのセットアップにパンプス、パールのネックレスと、ご公務のようなきちんと感で、まだ公の場に対する緊張感が窺えます。愛子さまが誕生されたころは、動きやすさを最優先に。ゆったりしたシャツに、パンツ、フラットシューズとカジュアルでありながらも、襟付きのアイテムで品を忘れず、白や寒色で、涼感も演出されています」
【’95年】伊豆急下田駅
「ご結婚当初は、ご静養地にもかしこまったセットアップスタイルで。近年は寒色を着られることが多いので、淡いピンクが新鮮です」(味澤さん・以下同)
【’02年】三井浜
「まだ幼い愛子さまを抱っこされていたこのころは可動域の広い動きやすいお召し物を。襟付きのトップスでスマートさは健在です」
【’03年】那須町共同利用模範牧場
「このころから、ほぼ毎年のようにスタイリッシュな印象のセンタープレスの白いパンツをご静養地でお召しになられています」
■カジュアルが年々シンプルに
「愛子さまのご成長とともに、今の雅子さまファッションの代名詞でもあるテーラードジャケット×パンツでご静養地へ。白を基調に2色までに抑えた配色、麻などの夏らしい素材で、暑く見えやすい夏のジャケットスタイルも爽やかに着こなされています。’18年以降は、柔らかいフォルムの羽織も増え、一層シンプルな印象に。色は寒色系が多いようです。」
【’10年】那須塩原駅
「動きやすさ重視から、きちんと感のあるジャケットスタイルに。白×ベージュの配色で愛子さまとリンクされています」
【’12年】伊豆急下田駅
「白×ネイビーのマリンルックが爽やか。愛子さまが幼いころは控えていらしたネックレスなどのジュエリーも取り入れられるように」
【’15年】伊豆急下田駅
「珍しくノーカラージャケットを。ラウンドネックではなくシャープなVネックを選ばれ、雅子さまらしい凜とした特別感があります」
【’15年】那須塩原駅
「ペールグリーンで彩りを。清涼感のある全身白は、トップスはコンパクトにパンツはストレートでスマートに着こなされて」
【’17年】伊豆急下田駅
「季節を問わず、バイカラーの小物を愛用され、着回されている雅子さま。バッグは’90年代から愛用されているもの」
【’18年】三井浜
「リラックス感の強いカーディガンを羽織られて。素材の違う白を重ね、差し色はネイビーで統一。計算されたきれいめカジュアル」
【’18年】伊豆急下田駅
「着回しされているシーンをよくお見掛けするバイカラーのパンプス。雅子さまの堅実さが、ファッションにも表れています」
最後に、味澤さんはこう語る。
「コロナ禍も一段落して、今後ご登場も増えると思います。ご成婚当初から、凜としたハンサムな雰囲気と品格が両立した佇まいは変わらずですが、これから確立される令和流スタイルも楽しみです」