天皇皇后両陛下が主催し、皇室と国民とが交流する場のひとつである秋の園遊会が11月に開かれることが、8月4日に発表された。
「秋の園遊会は5年ぶりの開催です。今春の園遊会同様、招待客を通常の半分程度にあたる1千人前後に絞り、食事やアルコール類の提供を控えることになりました。
園遊会には各界の功労者が招かれますが、例年高齢者も多いのです。天皇陛下と雅子さまは“感染対策を万全に”というご意向を示されていて、招待客への配慮をなさっています。また今年の春の園遊会では急な雷雨となり、正装の招待客が雨に濡れてしまいましたが、秋の園遊会では悪天候への対策も講じられるようです」(皇室担当記者)
行動制限もなくなり、皇室のご公務も従前のペースに戻りつつある昨今。国民との交流の機会でもある天皇ご一家の夏のご静養も復活するとみられていたが――。
「天皇ご一家は、8月上旬に静岡県下田市にある須崎御用邸でのご静養を検討されていました。しかし7月後半になって、両陛下は静養を急遽取りやめることになさったのです」(宮内庁関係者)
下田や那須御用邸までの行程には基本的に電車を利用されるため、駅頭に集まった人々へ天皇ご一家が語りかけられる光景は、ご静養時の象徴的なシーンのひとつだ。
「須崎には2019年夏を最後に滞在されておらず、静岡県民も天皇ご一家の来訪を心待ちにしていたと聞きます。当初、電車で現地に向かわれる予定でしたが、車での移動に切り替えるなど、移動や滞在期間の調整が、宮内庁と県側で直前まで行われていました。
ただ、新型コロナの“第9波”ともいわれる感染拡大や、国民生活を圧迫している物価高が続いている状況に、陛下や雅子さま、愛子さまも心を痛められているそうです。“生活が苦しい国民がいるにもかかわらず、以前と同じように夏休みを取るわけにいかない”と、最終的に須崎でのご静養の中止を決断されたと聞いております。
8月8日現在も、今月下旬から那須御用邸で、天皇ご一家のご静養が検討されている段階にありますが、両陛下は状況を見極めたいとお考えになっているのでしょう」(前出・宮内庁関係者)
国民と苦しみを分かち合われようとする両陛下のご決意は、愛子さまとも共有されている――。8月1日、新調されることが期待されていた愛子さまのティアラが、来年度も制作されないことが報じられた。前出・皇室担当記者は、
「宮内庁による来年度予算の概算要求に、愛子さまのティアラを新調する費用が盛り込まれていなかったようです。女性皇族は、成年されるとティアラやイヤリング、ネックレスなどの宝飾品を新調されることが慣例となっていますが、愛子さまは専用のティアラを作られず、叔母の黒田清子さんのものを借り受けて宮中行事に臨まれています。
宝飾業界も“今年こそ”と色めき立っており、次世代の皇室を担う愛子さまにふさわしいシンボルとして、専用のティアラを新調するべきだという声も宮内庁内にはありました。しかし、物価高が国民生活を圧迫している状況が続いているなか、高額な宝飾品を新調されることを両陛下と愛子さまが望まれず、新調を“再々辞退”されることになったのです」
■エアコンの温度は28度をキープ
眞子さんのティアラは約2千856万円、佳子さまのものは約2千793万円と、女性皇族のティアラはご身位に応じて作ることが慣例とされている。
「これにならえば、愛子さまのティアラは、眞子さんや佳子さまのものよりも高い品質のものを作らなければなりません。しかし天皇陛下と雅子さまは、国民の経済状況にも配慮されるだけに、愛子さまのティアラが人々の賛同を得られる形で作られることを願われているのでしょう。
さらに言えば、旧御仮寓所の新築を含め総額40億円規模となってしまった秋篠宮邸改修への批判を、両陛下は危惧されているようにも思います」(前出・皇室担当記者)
秋篠宮邸改修工事については、“資材はイタリア産を”といった秋篠宮ご夫妻による追加注文のために工期が延びたという指摘もある。また今秋以降には、現在佳子さまがお住まいの旧御仮寓所の改修工事もスタートする。前出の宮内庁関係者は、こう続ける。
「天皇ご一家が生活を節制されることで、秋篠宮家をはじめとして皇族全体に意識の変化を促そうとなされているようにも感じます。
愛子さまは8月4日に、鎌倉時代の歌人・藤原定家の書画をご覧になるため、東京国立博物館の展覧会へお一人でお出かけになりました。混雑する土日を避け、閉館後の時間帯に訪問されましたが、“一般の国民になるべく迷惑をかけないように”というお心の表れなのだと思います。
こうしたご一家の慎ましやかなお暮らしぶりは以前から変わらないものです。夏場はエアコンの設定温度を政府が推奨する28度に、さらには意識的に居間などの光量を落として過ごされています」
■よいものを長く……皇室の伝統を忠実に
質素倹約に努めることは、元来皇室が大切にされてきた考え方だという。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんはこう語る。
「東日本大震災以降、御所や宮殿の節電を徹底されています。宮殿で行われていた外国元首とのご会見など、少人数の行事はほとんど御所で行われるようになりました。宮殿は広く、天井も高いため、空調などで使用する燃料や電気使用量も多いのですが、こうした取り組みによってかなり抑えられました。
皇室の方々は、よいものを長く使うことを伝統とされています。天皇陛下が学習院初等科でお使いになったランドセルは、上皇陛下のおさがりでした。お召し物や家具などのインテリアも、お直しや修理ができる限りお使いになります。国民と共に歩み、苦労を共にするという伝統を、天皇ご一家は引き継がれていらっしゃるのです」
とくに雅子さまは、装いにも倹約の精神が表れていると、ファッション評論家の石原裕子さんは次のように話す。
「今年の歌会始の儀でお召しになったドレスは、2015年にトンガのトゥポウ6世の戴冠式でお召しになったローブ・モンタントでした。美智子さまはスカートの丈を短くされたり、会われる方によりコサージュの花などを替えたりと、少しリフォームされ繰り返しお召しになっていました。
そして雅子さまも、皇太子妃時代からお気に召されたお洋服やアクセサリー、お靴などを丁寧に手入れされながら、繰り返し何度もお召しになっているのです」
雅子さまの「国民と節約を」というご姿勢は、幼いころの愛子さまにも受け継がれていた。
「皇太子時代に、陛下が手を洗うために水道の蛇口を開けたまま、せっけんを泡立てていたら、幼い愛子さまが『出しっぱなしはダメ』と注意して蛇口を閉めたことがあったそうです。日々の節電だけではなく、家具やお手回り品を長く大切に使うという“倹約の精神”を学ばれた愛子さまは、いまもさまざまな工夫をご生活の中でこらされていると聞いております」(前出・宮内庁関係者)
天皇陛下と愛子さまと手を取り合われ、雅子さまは“国民と共に歩む”という決意をさらに固められる夏を過ごされている。