陛下と雅子さまはお見舞いの電報を送られた /(C)JMPA
「2月13日、天皇陛下と雅子さまは皇居・御所で国連大学のデイビッド・マローン学長と面会されました。マローン氏は’13年から10年にわたって学長を務め、両陛下もずっと交流されてきたのです。
2月末で退任するためのご挨拶でしたが、マローン氏は国連事務次長も務めており、いつしか話題はトルコ・シリア大地震による被害におよんでいたと聞いています」
そう語るのは宮内庁関係者。
2月6日に発生したトルコ・シリア大地震の犠牲者は増え続け、19日時点で死者は両国で4万6千人を超えている。
「発生からすでに2週間たっており、一部地域を除いて捜索活動も終了しました。被災者の多くが長期にわたる避難生活を強いられており、被災者の健康をどう守っていくのかが大きな問題になっています。
多くの子供たちも犠牲になっています。ユニセフの報道官によれば、トルコで460万人、シリアで250万人の子供が被災したとのことです。報道官は“絶望的な状況”という表現を使っており、冬の寒さのなか路上で寝泊まりしている子供たちには低体温症や呼吸器系の感染症も広がっているそうです」(全国紙国際部記者)
飢えながら震える子供たちを思い、雅子さまは胸を痛めていらっしゃるのだ。
皇室とトルコは親しく交流を続けてきた。皇室担当記者によれば、
「近年だけでいっても、’09年に天皇陛下(当時は皇太子さま)が、国際会議『世界水フォーラム』などに出席するためにトルコを訪問されています。
また’19年にはエルドアン大統領夫妻が来日し、皇居・宮殿で両陛下が会見されました。
’11年に東日本大震災が発生した直後、トルコからは救援隊が駆けつけており、陛下はその際の支援に対する感謝を直接伝えられたのです。
陛下が’09年のご訪問の際、イスタンブールでトプカプ宮殿やブルーモスクなどをご覧になったというお話をされると、エルドアン大統領は『見ていただきたい場所はまだまだたくさんあります。ぜひトルコにいらしてください』と、両陛下での同国ご訪問を呼びかけたのです。雅子さまも“ぜひいつかお伺いしたいです!”と、お答えになったそうです」
■「世界の子供のため」、雅子さまが毎年表明される願い
天皇陛下と雅子さまは、トルコ・シリア大地震発生から3日後の9日に、お見舞いの気持ちを伝える電報をエルドアン大統領に送られたが、ご会見での語らいも思い浮かべていらしたに違いない。
また雅子さまは長年、世界の恵まれない子供たちを救いたいというお気持ちを示し続けてこられた。たとえば、毎年お誕生日に発表されるご感想では――。
「難しい境遇に置かれている子供たちには心を寄せていきたいと思っておりまして、これは国内でもそうでございますし、また、これは世界的に見てもそういう子供がたくさんおりますので……」(’02年12月)
「世界各地での戦争や紛争により、子どもを含む多くの人の命が失われていることに深い悲しみを覚えます」(’22年12月)
日本の国母となられた雅子さまだが、それだけにとどまらず“世界中の恵まれない子供たちの母でありたい”と、お考えになっていることが伝わってくる。
皇室ジャーナリストの久能靖さんはこう語る。
「雅子さまは皇室に入られる前から、児童養護施設の子供たちと交流されていました。皇太子妃・皇后といったお立場になられなくても、困難な立場にある人たちを思いやる気持ちを抱き続けていらしたに違いないと思います」
前出の皇室担当記者が続ける。
「雅子さまはご体調が悪かった’06年ごろから、国連大学での聴講を続けていらっしゃいました。そのなかで関心をお持ちだったテーマが難民問題や子供の貧困問題などでした。現在も続く内戦のために世界中で1千万人以上ものシリア難民が悲惨な状況に置かれており、雅子さまもシリアそしてトルコといった今回の被災地域の状況も注視してこられたのです。雅子さまはかの地の大震災で親を失った子供たちのことを特に心配されているようです」
あしなが育英会の’12年の発表によれば、死者・行方不明者合わせて1万8千人を超えた東日本大震災による震災遺児は2千人以上を数えたという。
「被災地ご訪問の際、雅子さまは各地で被災児にいたわりの言葉をかけられ、また震災遺児のための基金にも深い関心を寄せてこられました」(前出・皇室担当記者)
トルコ・シリア大地震では、いったいどれほどの子供たちが親を亡くしてしまったのか。
「天皇陛下は2月23日に63歳の誕生日をお迎えになります。事前に陛下は記者会見に臨まれますが、トルコ・シリア大地震の惨状を鑑みて、雅子さまといっしょに現地で苦しむ人々へのお心を込めたメッセージを編まれたことでしょう」
“トルコ・シリアの震災遺児の母に……”、そのような覚悟を秘めた緊急メッセージが“子供たちの絶望的な状況”を照らす希望の光となることを祈りたい――。