2019年6月、ポーランドをご訪問(写真:アフロ)
陵(みささぎ)の前に進み、深々と拝礼されたのは、モーニング姿の秋篠宮さまとグレーの参拝服をお召しの紀子さまだった。
4月20日、秋篠宮ご夫妻は東京都八王子市にある昭和天皇の武蔵野陵(むさしののみささぎ)と香淳皇后の武蔵野東陵(むさしののひがしのみささぎ)を参拝された。
皇室担当記者はこう語る。
「皇室では海外ご訪問の前に、天皇陵と皇后陵を参拝するのが慣例となっています。秋篠宮ご夫妻は5月6日のチャールズ国王の戴冠式に参列するため、4~7日の日程でイギリスを訪問されます。ご出発より2週間以上早く参拝されたことからも、秋篠宮ご夫妻の訪英に対する意気込みが伝わってきます」
4月11日に閣議で了解された秋篠宮ご夫妻のご訪英。3月下旬に英王室から招待状が届いたというが、宮内庁関係者によれば、
「2月上旬時点で、すでに天皇皇后両陛下ではなく、秋篠宮ご夫妻が渡航されることが内々に決まっていました。そのころから宮内庁内では“紀子さまがかなり張り切っていらっしゃる”と、ささやかれていたのです。紀子さまは、お召しになるドレスなど、ほぼ3カ月間かけて着々と準備を進められてきたようです」
今回のご訪英で、秋篠宮ご夫妻は初めて政府専用機を利用される。
「政府専用機は、天皇皇后両陛下や皇太子ご夫妻、総理大臣などの海外訪問時や、外国における緊急事態での邦人の輸送などに利用されている政府所有の航空機で、機内には貴賓室も備えられています。航空自衛隊によって運用され、故障などに備えて、原則的に2機が同時に飛びます」
元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんは次のように語る。
「宮内庁から同行する職員は、皇嗣職宮務官や皇嗣職侍医、身の回りのお世話をする職員などで15人程度でしょう。
ロンドンでの宿泊費や食費、車両の借上費などについては、英国が招待しているわけですから、恐らく既定の人数分は英国側が負担し、それを超えた分は日本側が負担することになると思われます」
また前出の皇室担当記者は、
「宮内庁の関係者以外にも、外務省職員や皇宮警察官なども随行しますから、少なくとも30人以上となるはずで、秋篠宮ご夫妻の海外ご訪問では過去最多の規模になるとみられています。
安倍政権時代、野党議員からの質問により、政府専用機を使用する首相の外遊の費用を計算したところ、1回につき2億2千万円ほどであることが判明しました。
お召し物のご新調や、国王への贈答品などの費用も含めると、今回の秋篠宮ご夫妻のご訪英の費用は2億3千万円ほどになると思われます」
ちなみに1902年のエドワード7世の戴冠式では刺繍画の屏風など、1953年のエリザベス女王の戴冠式では『鷺蒔絵手箱(さぎまきえてばこ)』などが贈られている。鷺蒔絵手箱は、人間国宝の前身にあたる帝室技芸員にも任命された漆芸家・白山松哉の手による精緻な作品だった。
■チャールズ英国王の意向で各国の国王たちが参列
英国王の戴冠式への秋篠宮ご夫妻のご参列は、日英両国の交流の歴史的な一幕ともなるべきものだが、残念ながら、英王室や英国民の反応はかなり薄いという。欧州王室に詳しいジャーナリスト・多賀幹子さんはこう語る。
「これまで英国の戴冠式には“すでに即位した王や女王”は参列しないという慣例がありました。しかしチャールズ国王は、“戴冠している友人たち”を招待することで、英国に外交面でのメリットをもたらしたいと考えていると報じられています。
スペインからはフェリペ国王夫妻が、スウェーデンからはカール16世グスタフ国王が長女のヴィクトリア王太子を伴って参列します。
さらにオランダからはウィレム=アレクサンダー国王夫妻が参列するだけではなく、ベアトリクス元女王とカタリナ=アマリア王太子も戴冠式前夜のレセプションに出席されるようです。
デンマークからはフレデリック皇太子夫妻が参列しますが、マルグレーテ女王が腰の手術を受けてリハビリ中であることが理由とされています。
いずれの王室もチャールズ国王の意向を汲み、さらに自国の事情も反映して、出席する方を選んでいるのです。こうして多くの国王が参列するなかで、秋篠宮ご夫妻についての英国内での報道はほとんどないのが実情です……」
チャールズ国王とは長年の交流を持つ天皇皇后両陛下が参列された場合に比べて、秋篠宮ご夫妻の席次は下がってしまう可能性もあるという。
ロンドン在住の日本人ジャーナリストは、次のような懸念も示した。
「戴冠式での席次が後ろになるだけならまだしも、“なぜ日本は英国の歴史的な場に、無名の皇族を参列させるのか”という声が上がり、英国民から“総スカン状態”になってしまわないかと心配しています……」
多額の費用も要する秋篠宮ご夫妻のご訪英と戴冠式ご参列が、日英両国の友好を深める一助になることを切に祈りたい。