(写真:アフロ)
14年ぶりに王座を奪還し、日本中を勇気づけた侍ジャパン。そんななか、大谷翔平(28)がWBC決勝・アメリカ戦直前の円陣で声出しを担当し、その内容が「熱い」と話題になっている。
ロッカールームで栗山監督に指名された大谷は輪の中心に立ち、次のように話した。
「僕からは1個だけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュッミトがいたりとか、センターを見たら、マイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか。野球をやっていれば、誰しもが聞いたことのあるような選手たちがいると思うんですけど、今日一日だけは憧れてしまったら越えられないんで。
僕らは今日、越えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは、彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう。さぁ、いこう!」
選手だけでなく見ていた日本中のファンも鼓舞した大谷。実は過去にも、大谷と同様の発言をした偉大な先輩がいた。それは2004年、当時シアトル・マリナーズにいたイチロー(49)だ。
イチローが年間通算安打で、1920年ぶりに新記録を樹立した際のインタビューで「野球少年たちに何かメッセージは?」と聞かれて、自身の体格はアメリカでは大きくないが大リーグでも記録を作れたことを引き合いに、次のように話した。
「まぁこれは日本の子供だけでなく、アメリカの子供もそうですけど、自分自身の可能性をつぶさないでほしい。そういうことは強く思いますね。日本にいた時よりもこちらにきて強く思いますね。あまりにも大きさに対する憧れや、強さに対する憧れが大き過ぎて、自分の可能性をつぶしてる人もたくさんいると思うんですよね。自分自身の持ってる能力を生かすこと、それができればすごく可能性は広がると思います」
「憧れを捨てて可能性に挑戦しよう」という考え方。さらには自国だけでなく野球界全体の未来へも心配りしている点も、大谷がヒーローインタビューで語った「日本だけじゃなく、韓国も台湾も中国も、その他の国ももっともっと野球が大好きになってもらえるように、その一歩として優勝できてよかった」という発言とも共通している。
イチローと大谷、こうした考え方にも2人が超一流たる所以があるのかもしれないーー。