雅子さまは淡い水色の和装で臨まれた
令和となって初めてとなる園遊会が、ついに開催された。4年半ぶりとあって、天皇陛下と雅子さま、皇族方のお出ましに、東京・赤坂御苑に集まった約1千人の各界の第一人者やその伴侶たちが心を躍らせていた5月11日13時、あたりが暗くなり、雲行きが怪しくなってきた――。
「宮内庁職員たちが、『思ったよりも早く雨が……』と心配そうに話していたら、実際に予報よりも早めに雨が降ってきました。例年なら14時10分過ぎには両陛下を先頭に皇族方が赤坂御苑の丘の上に並ばれるのですが、時間になっても出てこられません。
しかし10分ほどたつと雨がいったんやみ、その後に両陛下と皇族方がお出ましになり、皇宮警察音楽隊により君が代が演奏されました。14時20分ごろにご懇談が始まるはずでしたので、雨のために予定より遅れた形でのスタートとなりました」(皇室担当記者)
淡い水色の着物をお召しになった雅子さまを筆頭に、女性皇族方は和装でお出ましになり、華やかな装いの美しさに、招待客からもため息が漏れていた。
しかし、両陛下と招待客の交流が始まると、いったんやんだ雨足が再び激しくなり、傘を差されてのご懇談となった。ある宮内庁関係者は、園遊会の進行を担当する式部職の対応の悪さについて苦言を呈する。
「雷雨は自然現象なので仕方ないとしても、“土砂降りの中でずぶ濡れで待たせてしまったのは、招待客に対して失礼にあたったのでは”という声も上がりました。
園遊会は4年半も開催されなかったので、職員たちの連携不足があったことは否めません。侍従なども含め、招待客への職員たちの配慮が欠けていた感があります」
突然の雷雨に現場が混乱気味で十分な対応ができないでいた一方で、雅子さまはお召し物を濡らしながらも、招待客の接遇に奮闘されていたのだ。
「歌舞伎役者で人間国宝の片岡仁左衛門さん夫妻が、傘も差さずに緊張気味で両陛下との懇談を待っていました。
順番が回ってくると、陛下がまず片岡さんに『よろしければ傘をお差しください』とお声がけされ、続けて雅子さまが『ずいぶんお待たせしました』と和やかに懇談が始まりました。片岡さん夫妻の緊張をほぐされるように語りかけられ、昔舞台を見たときの感想などをお伝えになっていました。
全体的に、雅子さまは事前に招待客一人ひとりの情報を把握され、会話も濃い内容になっていたことが印象的でした」(前出・皇室担当記者)
■後列の招待客にも丁寧にお声がけされ
園遊会は、天皇陛下と雅子さまに皇族方が続いて歩き、道沿いに並んだ招待客とお話しされながら進行する。コロナ禍の前までは食事やアルコール類などが提供されていたが、今回は感染防止のためソフトドリンクのみ。
陛下や雅子さま、皇族方のお話がもてなしの中心となる、例年とは異なる園遊会だったが、雅子さまのおもてなしはひときわ光り輝いていた――。
「冬季五輪で2度金メダルを獲得したスピードスケートの髙木美帆選手と、東京五輪の金メダリストとなった卓球の伊藤美誠選手が隣り合っていたのですが、雅子さまは『ご一緒に何かされることはありましたか』と、2人を結びつけるように話を向けられたのです。
お話しする招待客の経歴や業績に合わせながら、的確な話題を展開する雅子さまのご配慮に、両選手の表情もとても明るく、両陛下の笑い声も聞こえてきました。そして雅子さまは、前列にいる人だけではなく、後列の招待客とも時折お話しされていました。集まってくれた人々を労いたいというお気持ちがあってのことなのでしょう」(前出・皇室担当記者)
ご懇談の予定時間は20分ほど。しかし実際には、その2倍にあたる40分あまりをかけて、陛下と雅子さまは招待客と丁寧にお話しされていたのだ。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんはこう話す。
「皇后陛下は積極的にお声がけをされ、お元気そうにお見受けしました。あいにくの雨でしたが、和やかな園遊会だったと思います。
両陛下とのお話が長くなれば、相手の方も喜ばれます。お付きの職員が“お時間です”などと、先に進まれることをお願いしたあとも、さらにお話を続けられるのは、おもてなしやふれあいを大切にされるお気持ちの表れだと言えるでしょう」
前出・皇室担当記者は、次のように目を輝かせた。
「春の園遊会でのご交流のご様子からは、天皇陛下と雅子さまが目指されている“国民の中へ”という思いを感じました。コロナ禍で長い間、両陛下が直接国民と交流する機会は制限されていました。そのぶん、これからのご公務や地方ご訪問では、より多くの国民と語り合われる時間を作り、大切にされるでしょう」
雨の後にかかる美しい虹のように、これからも雅子さまは国民と心を通わせるための奮闘を止められることはない――。