青空の下で、濃いネービーブルーのスーツに身を包まれた雅子さまが、透き通るように青く広がる東京湾に面した公園を歩かれていた。5月24日、天皇陛下と雅子さまは「第50回戦没・殉職船員追悼式」に臨まれるため、神奈川県横須賀市の観音崎公園をご訪問。
第二次世界大戦などで犠牲になった船員などを慰霊する式典で、両陛下は公園内の戦没船員の碑に供花され、深く拝礼された。式典後、雅子さまは遺族らに優しく語りかけられていたがーー。
「じつは、雅子さまのご出席が発表されたのは、御所を出発されるわずか30分前でした」と、宮内庁関係者は明かし、こう続ける。
「最近の雅子さまはご公務の出席も増え、いつも笑みをたたえられていることから、ご療養中であることを忘れてしまいがちです。
しかしいまも、陰ではご体調面の不安と闘われています。ご自分でも体調を把握することがむずかしいのがご病気の特徴で、ギリギリまで出席の判断が留保されることはめずらしくありません。
それでもご出発の直前まで、“皇后の使命を果たす”というお気持ちを抱かれて、ご体調を整えるために奮闘されているのです」
差し迫る出発時間、払拭しきれないご体調悪化への強い不安……。しかし雅子さまは国民から見えないところで苦境を日々乗り越えていらっしゃるのだ。
5月28日には、宮内庁楽部で春季雅楽演奏会が開かれ、天皇陛下と愛子さまが出席された。愛子さまは昨年の秋季雅楽演奏会を佳子さまと鑑賞されており、2度目のご出席となった。
「愛子さまはかねて日本の伝統芸能に関心をお持ちになっていて、強く出席を希望されていたと聞いております。陛下と愛子さまは楽器や演奏法などについて熱心に質問され、楽しく鑑賞されたそうです。
雅子さまも同席されたいお気持ちがあったそうですが、“今後の予定を踏まえ、体調に配慮して同席されなかった”と側近は話しています。久しぶりの被災地ご訪問に万全の体調で臨まれるため、愛子さまとも鑑賞できる貴重な機会でしたが、出席を控えられたのでしょう」(皇室ジャーナリスト)
両陛下は6月3日から、全国植樹祭に臨むため、7年ぶりに岩手県を訪問される。同県はご成婚直後の1993年7月、初の地方行事ご出席のため訪れた地でもあるのだ。前出の皇室ジャーナリストは、
「両陛下は6月9日にご成婚30周年を迎えます。節目ともいえるタイミングのご訪問であり、発生から12年がたった東日本大震災の被災地も視察される予定です。両陛下は2011年以降に何度か岩手県の被災地を訪問されていますが、今回は“奇跡の一本松”で知られる陸前高田市など、初めて足を運ばれる街もあります」
立ちはだかるご体調の懸念に抗いながら、着々とご準備を進められていてーー。
「お会いになる方について予備知識を得るようにしているほか、いまも心の傷が癒えない被災者や遺族にどう寄り添うか、どう言葉をかけるか、懸命に思いを巡らしておられるようです。
長年のご病気との闘いの中で、雅子さまは“付き合い方”を身に付けてこられました。国民に寄り添われようと、ご体調を整えることにいまも全力で取り組まれていらっしゃるのでしょう」(前出・宮内庁関係者)
被災地で直接臨まれる「全力慰霊」に向けて、雅子さまは真摯に立ち向かわれている。