大麻など違法薬物問題で揺れる日本大学アメリカンフットボール部の廃部が、11月28日に決まった。大学は27日に部員で3人めの逮捕者が出たことを発表し、薬物の蔓延が疑われるなかでの部の存続は困難と判断したと見られる。
日大アメフト部は1940年に創部。「フェニックス」の愛称で親しまれ、学生日本一を決める「甲子園ボウル」で優勝21回、日本一を決める「ライスボウル」で優勝4回を誇る強豪だ。
2018年には、関西学院大学との定期戦で、日大の守備選手が関学の選手に悪質タックルをして負傷させる事件が発生。タックルを命じ、指導方針が問題視された内田正人監督やコーチが退任し、チームは公式戦に出場停止となった。このタックル事件からの再生が注目されるなかで今回の騒動が起き、ついに信頼回復には至らなかった。
報道を受け、X(旧Twitter)では「廃部やむなし」という声とともに、残された部員を慮る声が広がった。
《ここまでやると廃部になっても仕方ないよな…スポーツ推薦で入った人達どうなるんだろ?》
《真面目に頑張っていた部員やOBにとっては残念ですね》
《仕方のない事だが名門フェニックスが消滅する最悪の事態になった、真面目に頑張っていた学生達が気の毒です》
《廃部はやむおえないとはいえ、伝統ある部活で頑張る!と希望を持って入部した学生さんがかわいそうですね。学校側がきちんとしていれば…残念です》
本誌は、日大アメフト部で青春を送ったOBに今の思いを尋ねた。すると、驚くべき事実を明かした。
「報道が出た朝6時ころ、同期から『廃部になった』と連絡が入って、切なさを覚えました。そして、OB・OGに対して、マスコミの取材に応じないよう求めるLINEのメッセージも回ってきました。
薬物報道が出たとき、僕からすると『ついにバレちゃったんだ』という感じでした。僕が所属していたときから、すでにアメフト部のメンバーは大麻を吸っていました。
外国人選手が吸っていることの影響が大きく、吸っているのは上級生がメインでした。試合終わりやオフ前日に、屋上で吸っていましたね。僕も含め、ほかのメンバーは黙認している感じでした。
内田監督がいるときは、部内でトラブルがあっても監督の力で揉み消されたりしたんですが、監督が退いてからは幹部の力がなくなり、アメフト部の不祥事が表に出るようになりました」
報道からすぐ、廃部撤回を求める活動がスタートしたという。
「関学OBの方が署名運動を立ち上げたそうで、それを知らせるLINEメッセージが回ってきました。オンライン署名サービスの『change.org』内にページが作られ、29日21時の時点で2100超の人が賛同してくれています。
ページ上では、署名運動の目的が教育的観点となっていますが、送られてきたLINEには、真面目にやってきた部員たちやOB、フェニックスのファンのために少しでも力になりたいと書かれていました。もちろん私も共感し、すぐに署名しました」
かつてタックルの被害にあった関学側から始まった署名活動。同じ志を持って真摯に取り組んだ者同士、過去は関係なく本心から部の存続を願っているのだろう。
署名の宛先は林真理子理事長になっている。2022年の就任時、学生に寄り添った運営を掲げた林理事長は、署名をどのように受け止めるだろうか。
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