5月22日、アメリカのバイデン大統領が日本に到着した。岸田首相との会談やクアッド(日米豪印4カ国)首脳会合など、過密なスケジュールが組まれている。岸田首相は、2023年に開催予定のG7サミットの開催地を広島と決め、バイデン大統領もそれを支持したなどと報じられている。
実は、公務中のバイデン大統領のそばを片時も離れないものがある。通称「フットボール」と呼ばれる、黒革で包まれたジェラルミン製バッグ。いわゆる核兵器の “発射ボタン” だ。重さは約20kgで、軍の正装に身を包んだ5人の将校によって、交代で運ばれている。今回も、迎賓館に向かう途中、大統領の後に続いた女性が重そうに運んでいた。
「フットボールの中身は、当然、トップシークレットですが、いわゆるボタンではなく、通信機器が入っているとされます。
元ホワイトハウス軍事局のトップ、ウォーレン・ガリー氏が1980年に著書『ブレイキング・カバー』で明かした情報によると、中身は4つのファイルで構成されているそうです。
1つめは、アメリカが核攻撃を受けたときの報復作戦用リストで、通称「ブラックブック」。2つめは、緊急時に大統領が避難する場所が書かれたリスト。3つめは、緊急警報システムの手続きをまとめたもの。そして、最も重要な4つめが認証コードが書かれた小さなカードです。
これとは別に、通称 “ビスケット” と呼ばれる、大統領本人だと証明するコードがあるとされます。発射コードが伝達されると、国防長官の確認を受けたのち、発射要員がミサイル発射の鍵を回すことができるのです」(軍事ジャーナリスト)
ちなみに、ネットで「nuclear football」と検索すると、画像が山のように出てくる。世界一危険なバッグがどう運ばれているのか、簡単にわかってしまうのだ。
「もし奪われたら一大事ですが、このバッグ単体で核ミサイルを発射できるわけではありません。本当に大統領本人からの命令なのか何度も確認作業がおこなわれますし、盗んだところで、その人物が核ミサイルを発射できるわけではありません。
さらに、大統領が職務を遂行できない場合に備え、副大統領も同じものを持っているとされます」(同)
世界で一番危険なバッグは、世界一厳重に守られているのだ。
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