1月1日に能登半島を襲ったマグニチュード7.6、最大震度7を記録した巨大地震。8日午後15時の時点で、石川県内の死者は168人に上る。震災直後の3日、地震による火災で約200棟が焼け落ちた石川県輪島市の朝市通りには、自宅の被害状況を確認するために、避難先から戻る人の姿があった。
「ここは輪島でいちばんの中心街。輪島塗のお店が何軒もある場所です。輪島の文化そのものが消失してしまった気持ちです」(60代男性)
同市では7階建てのビルが倒壊し、隣に住む女性が下敷きになった。3日に救出されたものの、その場で死亡が確認された――。
この壮絶な被害をもたらした地震の原因はなんなのか。
「“流体” がトリガーになったのでしょう」
こう語るのは、京都大学防災研究所・西村卓也教授だ。西村教授は、2022年に石川県珠洲市で頻発した地震について、同年6月の本誌取材に対し、「能登半島では今後、マグニチュード7クラスの地震が起きる可能性がある」と “予言” していた研究者だ。
「今回の巨大地震の直接的な原因は活断層です。活断層は過去何百年にわたり、日本列島を東西に押し合う力を受け、巨大なエネルギーを溜めていました。それが動いたわけです」(西村教授・以下同)
だが、その活断層を “暴発” させたのは、一昨年から能登半島で続く “流体地震”だ。
「能登の地中にある流体は、水だと思われます。東京ドームにして20個分以上、約3000万立方メートルほどの水が、地下深くから上昇し、地下10~16kmほどの所に溜まりました。
これが岩盤に圧力をかけたり、摩擦力で固定されていた断層に潤滑油として入り込み、小さな地震を頻発させていました。この “流体” が能登半島北岸の活断層を刺激し、今回の巨大地震を引き起こしたと考えられます」
この地中の流体が地震を引き起こすケースは、今後も発生する可能性が十分ある。
「具体的には、茨城県と福島県の県境付近でも流体が地中に存在しており、東日本大震災以来、小さな揺れがずっと続いていますし、危険な活断層がその近くにあります。
京都府亀岡市付近も似たような状況ですね。しかしこれ以外にも、全国の地下100カ所以上に流体が溜まっていると推測されます。どこでも発生しうると考えるべきでしょう」
今回の教訓を生かし、備えるしかない。
外部リンク