恐怖の【チェーン噴火】! 専門家が懸念する悪夢の連鎖シナリオ「南海トラフ地震で富士山爆発の可能性」
「東京都が想定した被害者数は少なすぎます」
「都は、建物の耐震補強が進み、全壊戸数が減少することを死者数が減少する理由に挙げています。しかし、この想定では高速道路やビルなどの都市のインフラが、老朽化していることが考慮されていません。10年前よりも首都圏の人口密度は高まっており、被害者数は前回並みか、むしろ多く見積もるべきです」
「東日本大震災のような2つのプレートが押し合って発生する『プレート境界型』の地震は、発生のメカニズムや歴史的な記録があり、発生時期についてある程度予測することが可能です。また、阪神・淡路大震災や熊本地震、立川断層帯のような『活断層型』の地震は、活動状況を調査することができます」
「都が想定しているのは、フィリピン海プレートの内部の断層が動き、発生する地震です。このパターンの地震の場合、実際に歪みがどのくらい蓄積されているのか、現在は調査ができません。あくまで過去の発生頻度を考慮したうえで、『今後30年以内に起きる確率は70パーセント』と、発表しているにすぎないのです」
「南海トラフ地震は、2035年から前後5年の間に確実に発生します。南海トラフ地震の震源域は東海、東南海、南海と3つに分かれています。このうち、東海地震の震源域が確実に動くとみています」
「南海トラフでは、1944年の東南海地震(M7.9)、翌1945年の三河地震(M6.8)、1946年の昭和南海地震(M8.0)が発生しています。しかし、東海の地震震源域での地震は1854年から起きておらず、約170年ぶんのエネルギーが溜まっています。東海、東南海、南海の震源域が連動して、東日本大震災と同規模であるM9.1の巨大地震が確実に起こります」(同前)
■東日本大震災で噴火スタンバイ状態
「富士山は東海地震の震源域のすぐ北にあります。じつは、富士山は東日本大震災によって刺激され、マグマ溜まりの天井に“ヒビ”が入り、噴火の“スタンバイ状態”にあるのです」
「地震で地面が揺さぶられる際、内部の圧力が高まって、マグマの中に溶けた揮発性のガスが噴出するという説もあります。ビールの泡が噴き出すのと同じ原理です」
「宝永噴火の前も、富士山は200年間も沈黙を守っていました。それまでの富士山は、50年から100年の周期で噴火を繰り返しています。現在は、明らかにマグマが溜まりすぎで、宝永噴火のときと状況が似ています」
「東日本大震災の後、日本列島にある111の活火山のうち20の火山の直下で、マグマの周辺が不安定になって起こる『火山性地震』が頻発したのです。富士山でも、3.11の4日後にマグマ溜まりの上で地震が発生しました。また箱根山、草津白根山、阿蘇山など、実際に噴火した山もあります」(同前)
「1991年に起きたフィリピンのピナツボ火山の巨大噴火は、噴火の少し前に、付近の活断層で地震が起こっているという指摘があります」
「富士山では、宝永噴火の49日前に、南海トラフ地震である宝永地震が発生しています。今年5月24日、北アルプスの焼岳の噴火警戒レベルがレベル2(火口周辺規制)に引き上げられました。以前から長野県や岐阜県の県境など、焼岳の周辺で地震が頻発しています。地震によるチェーン噴火が起こることは、十分にありえます」
「火山灰はガラス状の粉です。コンタクトレンズを着けている方は、目に火山灰が入ると角膜を痛めてしまいます。交通機関や上下水道、金融機関などのコンピュータ、高層マンションのエレベーターも停止してしまう恐れがあります。ライフラインは壊滅するでしょう」(同前)