未婚・子なし・実家には85歳の父…松村邦洋が直面する“終活準備ゼロ”でもFPが「意外と高評価」の理由
「コロナではご心配かけました。2020年末から年明けにかけて、自宅で一人療養してたんですが、ずっと咳と痰が止まらず、診察を受けると肺炎になっておりました。 医師からは『入院が少しでも遅れたら危なかった』と言われましてね。さすがに老後のことを考えるようになりました。
(1)病気の予防をしているか?
「40歳くらいまでは、そんなこと考えたこともなかったです。まぁ、2009年の東京マラソンで倒れてますんで、その後は気をつけてはいますかねぇ。今は、年1回は健康診断を受けています。
(2)親の財産を把握しているか?
「実家は山口の田舎です。母親は2008年に69歳で亡くなりましたが、兼業農家だった父は、85歳になった今でも田畑に出ています。野村克也さんが「グラウンドで死にたい」っておっしゃってたけど、「田んぼで死にたい」って感じでして(笑)。
(3)今の仕事を続けていけるか?
「この世界に入ったときから、一年一年の契約社員みたいなもんで、長くやれるとは思ってなかったです。まぁ僕自身、どうなるかわかんないですね。タレントは60ぐらいでやめるかもしれないし、実家に帰って農業を継ぐかもしれませんし……。
(4)副収入はあるか?
「僕は『副業でカネを儲けるな』と、若いころからずっと思ってたんですよね。飲食店で儲けようとかっていう考えが僕はダメで、 “運” は全部仕事で使いたいんですよね。
(5)自分の資産を把握しているか?
(6)収入減に備えた貯蓄はあるか?
「把握も何も、資産はないんですよね。貯蓄は少しはありますが、車も持っていません。野球と歴史関係のコレクションも、資料として必要なものだけ残して、だいぶ手放してしまいました。
(7)電子マネーを活用しているか?
「電車に乗るときにSuicaは使いますけど、買い物はほぼ現金ですね。買い物のとき、釣り銭を数えるのが面倒で、全部お札で支払って、小銭は自宅の缶にまとめて放り込んでいたんです。かなり貯まったので銀行の両替機に入れたら、缶の中にあったゴミで機械を詰まらせてしまって、「二度とやらないでくれ」と言われましたね」
■<FP(花輪陽子)がチェックリストを解説、松村の終活の評価は!?>
「これまで老後について何も考えてこなかった」という松村さん。でも、人づき合いを大切にされていますし、今から少しでも準備をしていれば、末永く明るい人生を送れると思います!
(1)(松村のコメントに出てくる番号に対応)病気になる前に防ぐのが、結局はいちばん安上がりですよね。会社や自治体が設けている無償の健康診断の機会を逃さないようにしてください。「歯は万病のもと」なので歯科検診も大事です。松村さんは、健康診断をしっかり受けていらっしゃいますね。
(2)地方や郊外の不動産が「負動産」となる例が多発しています。土地を売却できず、固定資産税が課せられつづけるのです。相続放棄は、基本的に3カ月以内にする必要があります。ご兄弟と少し疎遠だという松村さんですが、できればお父様が元気なうちに、実家の経済的価値を調べておくべきですね。
(3)現在は70歳までの継続雇用が企業の努力義務とされており、社員本人さえ希望すれば、今いる会社で70歳までは働けます。しかし、その選択をすべきかどうかは、50代のうちに判断しなければならないのです。
(4)今では大企業を中心に、副業が解禁されています。ただ、いきなり異分野の仕事を手がけるのはハードルが高いですし、営業マンなら商談代行など、まずはこれまで培ってきたスキルを生かせる仕事を考えてみてはいかがでしょう?
(5)資産といっても、不動産や株式のほかにも、商品券やプリペイド・デポジットカードなども含まれます。細かく確認するのは大変ですが、一度記録しておけば、万が一の事態に陥っても、兄弟や親戚などにすぐ引き渡せます。グリーンウェル選手のサインボールが資産かは……ノーコメントです(笑)。
(6)基本的には、3カ月分の生活費は最低限プールしておきたいですね。急な失職や引っ越しの必要が生じても、それだけあれば、無借金で乗り越えられるはずです。
(7)電子マネーや各ポイントカードそれぞれに、いくら貯まっているのか把握している人は少ないと思います。有効期限を過ぎてしまわないよう、把握できる範囲で利用するべきです。
まつむらくにひろ
1967年生まれ 山口県出身 片岡鶴太郎に認められ芸能界入りし、ビートたけし、高田文夫などのものまねで一世を風靡。野球・歴史に詳しく、バラエティやラジオで活躍中
はなわようこ
三重県出身 青山学院大学卒業後、外資系投資銀行を経てファイナンシャルプランナーとして独立。現在は拠点をシンガポールに移し、ジム・ロジャーズ著『世界大異変』(東洋経済新報社)など翻訳家としても活躍
写真・松沢雅彦
取材/文・鈴木隆祐