映画『SLAM DUNK』作者のメッセージが中国で大炎上「上映禁止だ!」若年愛国者ピンクちゃんから猛攻撃
「上海では、1997年からアニメがテレビで放映されました。そのとき、私は17歳の高校生でしたが、夢中で観ていました。映画は上映初日に行きましたが、まさに青春がよみがえった感じです」(40代・上海で英語教師を務める中国人男性)
「僕らも年を取り、結婚して子どもがいたりしますが、ぜひ子どもも連れて観に行ってほしいですね。とくに男の子なら、試合への情熱や、安西先生の『あきらめたらそこで試合終了ですよ』という言葉から、あきらめない気持ちを学ぶことも多いでしょう。とにかく懐かしい作品です」(40代・中国人男性)
と、原作の漫画やアニメにふれてきた、30代以上の中国人男性たちだ。
「Twitterの文章自体は、『みなさまに楽しんでいただければ幸いです』程度の、なんでもない内容でした。ところが、『HELLO CHINA』のうち『CHINA』の『H』だけが黄色くなっていたんです。これに文句がつきました。『Hを飛ばして読むと、外国人が中国を侮辱する『CINA(支那)』と読める』という意見が出てきたのです」(中国事情に詳しいジャーナリストの角脇久志氏)
《Twitterの投稿の『CHINA』の黄色い文字でHだけ色を変えて『CINA』(シナ)とは、どういう意味だ?》
《スラムダンクは大好きで、井上雄彦先生に感謝します。しかしどうしてCHINAの一文字の色を変えたのか。CINA(シナ)と読むのを意図したのか?》
《数年前に香港独立の動きがあったが、彼は自分がどういう立場なのかまったくわかっておらず、あきれて言葉も出ない》
「井上氏は、2019~2020年にかけておこなわれた香港民主化デモについて、民主化勢力を支持するようなスタンスを取りました。評論家で中国当局に批判的な石平氏や、河野太郎氏が投稿した強引なデモへの取り締まりを憂慮する投稿に『イイね』を押したため、中国の愛国系ネット民から攻撃を受けた過去があるんです。今回、この事件も蒸し返されています」(角脇氏)
「『SLAM DUNK』は上映禁止にされるべきだ! なぜなら作者の井上雄彦はTwitterの宣伝で『CINA』と意図する投稿をしたからだ。それに彼は数年前に、Twitterで香港に関する投稿に『イイね!』を押していた。作者の中国に対する態度は友好的ではない! だから、『SLAM DUNK』の映画の上映もアニメの放送も、禁止にすべきだ。そのほかにも、関連する作品も二次創作も禁止にするべきだ」
と、発言している。
「こうした投稿を繰り返すのを、中国では『小粉紅』と言います。日本語では『ピンクちゃん』という意味です。彼らは、中国で1990年代以降に生まれた若い世代の民族主義者。とくに台湾独立運動や香港民主化運動、チベット独立運動に対し、大人数で攻撃的な書き込みをおこなうことで知られています。日本でいえば、いわゆる“ネトウヨ”のような存在です」(角脇氏)
「そんなにいやなら『SLAM DUNK』を観ないでくれ、といさめる声や、井上氏のTwitterにはベトナムでの公開をお祝いする投稿もあり、そこでは『VIETNAM』の『T』が黄色くなっているのだから、深い意味はないはずだ、といった冷静な声もあります。