『こち亀』こと、マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に、こんなエピソードがある。カード会社から500万円を誤送金された両さんが、返金する前に「一時借りて、馬券を買おう」と思いつく。3倍になる馬券を買い、500万円を返金しても1000万円が手に入る……と目論む話だ。
まさにこれが現実となったのが、山口県阿武町で起きた4630万円の誤送金問題。
5月18日、山口県警は電子計算機使用詐欺容疑で、田口翔容疑者(24)を逮捕した。
容疑者の出入金記録も明らかになっている。4月8日、阿武町からの給付金10万円と誤送金分の4630万円が振り込まれるまで、口座の残高は、わずか665円。誤送金があった当日に約68万円をデビット決済に充てて以降、一気に各所への振り込みをおこなっている。そのおもな振込先はネットカジノの取引代行会社とみられる3社だ。
振り込みの内訳は、デビット決済が340万1071円。ネットカジノのA社に3592万4691円。同じくネットカジノのL社、M社に300万円と400万円。これに振込手数料などをあわせて、合計4633万1922円。4月18日には、残高が6万8743円となっている。
阿武町は5月12日、給付金の全額と弁護士費用などを合わせた5100万円あまりの支払いを求め、男性を提訴しているが、回収は困難とみられている。逮捕された容疑者には今後、どんな運命が待ち受けているのか。
《税金で2000万円以上来年がくるけど 税金だから自己破産しても逃げらんないよね? 刑務所入ってる間は追徴課税どうなるの…》
《逮捕されたことにより、返済の為に就職するのは絶望的 故意による賭博では、自己破産も無理だろう 市は、金融業者に債権譲渡して、金融業者から親類縁者宛に取り立てを代行するのが妥当だろう》
《犯罪収益にも税金がかかるので、4630万円の不当利得には、約1200万円の支払い義務が発生する。おまけに未払いの場合は追徴課税もくることに。所得税 約650万円(一時所得のため) 住民税 約460万円 国保税 69万円》
など、SNS上にはさまざまな予測が飛び交っている。
納税額は、この後の取り調べで振り込み先の特定やお金の移動などが見つかるなどすれば、変わってくる可能性がある。自己破産ができるかどうかも、ケース次第だ。「借金を返さないためにわざと財産を隠したり、財産価値を下げる行為」という免責不許可事由に当てはまれば、自己破産は認められない。ただし、これも裁判所の判断により自己破産が認められるケースがある。
いずれにしても、24歳の若さでこれだけの大事件を起こしてしまった以上、決して明るい未来が待っているとはいえないだろう。
さて、冒頭の『こち亀』の結末はどうなったのか。詳しくは説明できないが、「さすが両さん」というハートフルな話になっている。両津勘吉の爪の垢でも煎じて飲ませたい――。
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