メディアの多様化により、以前ほどテレビの影響力はないといわれるが、いまもアナウンサーは花形の職業であり、多くの人が憧れる存在だ。なかでも、民放キー局の女性アナウンサーともなれば、内定を勝ち取るのは天文学的倍率。彼女たちはその難関を突破した、超エリートなのである。
だが、憧れのアナウンサーになってからも競争は続く。人気番組のアシスタントや局の看板番組でMCを担当できるのは、ほんのひと握りの存在なのだ。
そしてこの時期、4月の番組改編期を前に、女性アナウンサーたちの「査定」が密かにおこなわれている。あの番組には誰を起用すべきか――各局のプロデューサーたちが、アナウンサーたちを品定めしているのである。彼らが「査定」のひとつの目安としているのが、大手広告代理店が実施する「いま使いたいアナウンサー」のアンケート調査だ。
「女性アナウンサーは、番組の成否を左右する重要な要素です。女性アナウンサーにとってルックスはもちろん大事ですが、アナウンサーとしての“実力”も必要不可欠。やはり、仕切り力やアナウンス力は重要視されますね。それらを多角的に調査したものが、このアンケート結果なんです」(広告代理店担当者)
調査に協力しているのは、民放キー局で番組制作に関わるプロデューサー計100人。彼らが以下の5項目で採点をおこない、ランキングした表を掲載する。
●ルックス:かわいさだけではなく「テレビ映え」も考慮
●アナウンス力:原稿読み、声の質、聞き取りやすさ、アクセントの美しさなど
●仕切り力:MCやアシスタントとしての能力
●現場の評判:番組スタッフや共演者からの評価
●将来性:将来的に飛躍が期待できるか
では、プロデューサーたちが「いま使いたい実力のある民放局の女性アナウンサー」は誰なのか。順に紹介しよう。
1位に輝いたのは、TBSの日比麻音子アナ。2016年入社の7年めで、現在は『Nスタ』金曜日の総合司会や『オオカミ少年』など、情報番組やバラエティを幅広く担当している。「現場の評判」「将来性」が、ともに94・5点で2冠に輝いている。プロデューサーたちの評価は「童顔のルックスとは裏腹に、ニュース読みがうまい」「浜田雅功さんとのバラエティでも、仕切り方が見事」「美人すぎず、ちょうどいいかわいさ。笑顔もいい」「制作会社のスタッフや共演者からの人気が高い。仕事ぶりだけでなく、人柄もいい証拠」(以下「 」内はプロデューサー)とベタ褒めだ。
2位も同じく、TBSの江藤愛アナ。2009年入社で、同期は田中みな実というベテランだが、「アナウンス力」がトップの評価で、信頼度は高い。現在『ひるおび』『THE TIME,』などを担当。「香川照之さんが降板した金曜の『THE TIME,』のMCの代役を急遽まかせられたのは、なによりの信頼の表われ」「派手さはないものの仕事は丁寧で、現場スタッフからも慕われている」「ナレーションや提供読みなども抜群にうまい」。
3位は、日本テレビの水卜麻美アナ。2010年入社で、2019年にはアナウンス部副主任に昇進している。「アナウンス力」「仕切り力」はトップ評価だ。「日テレを支えてきた実力は絶大」「バラエティのイメージが強いが、アナウンス能力も抜群に高い。提供読みなどもしっかりこなしている」「35歳という年齢から『将来性』が多少低いのは仕方ないが、アナウンサーとしての総合力なら間違いなく1位」。
今回、TOP3に共通しているのが「ルックス」がいずれも90点を下回っていること。「美人すぎない」ことが、逆に視聴者に親近感を与えるということなのだろうか。
続く4位は、水卜アナの後輩・岩田絵里奈アナ。中学時代からタレントとして活躍し、2018年に入社。早くから『世界まる見え!テレビ特捜部』など、人気番組に抜擢されてきた。将来性は94点で、日比アナに次いで高評価。「ビートたけしさんをはじめ、大物にかわいがられ、天性の愛嬌がある」「タレント経験があるためか、とにかく度胸がいい」「男性だけでなく、女性人気も高い」。
5位は、テレビ朝日の林美沙希アナ。2013年入社で、弘中綾香アナは同期。『大下容子ワイド!スクランブル』『ANNニュース』など、報道番組を多く担当している。「正統派の美人。まさに品行方正の典型で、ニュースの信頼感が増す」「ニュースがメインだが、バラエティで芸人を相手に幅が広がれば、将来はテレ朝を担う存在になるのでは」。
6位は、フジテレビの佐久間みなみアナ。2020年入社の3年めで、2022年4月から『S−PARK』のメインキャスターに抜擢された“CXの次世代エース”だ。「大物にもひるまずグイグイいく感じがいい」と高評価の半面「現場の評判はいいが、テレビ映えに物足りなさが」との声も。
7位は、TBSの田村真子アナ。『ラヴィット!』で、すっかり朝の顔として定着。「ルックス」はトップ評価92点。父は元厚生労働大臣の田村憲久氏。「意外とニュース読みはうまい。報道やスポーツのほうが実力を発揮できるかも」と高評価の一方、同局のプロデューサーからは「気に入らないことがあると顔に出てしまう」との意見も。
8位は、朝日放送のヒロド歩美アナ。在京局以外から唯一のランクインだ。「大物芸能人が相手でも立ち回りがうまい。機転が利くという点ではトップクラス」「スタイル抜群。東京のキー局にいたら天下を取れていたかも」。
9位は、フジテレビの永島優美アナ。父親譲りの“噛み癖”が有名なせいか、「アナウンス力」がやや低いのが気になる。「明るさが武器だが、結婚してからやや落ち着いて地味になってきた感が」。
10位は日本テレビの忽滑谷こころアナ。入社3年めのホープだ。「大学時代はラクロス部、趣味はサーフィンと、体育会系気質が画面にも表われている。スポーツ系番組のエース候補」「バラエティでは、しっかりと『色物』になり切れる姿に好感が持てる」。
12位のフジテレビ・井上清華アナは「ルックス」が、TBS・田村アナと並んでトップ評価。ただ「アナウンス力」「現場の評判」がやや低く、トップ10入りならず。「フジとしては次のエース扱いだが、アナウンサーとしての資質をもう少し磨いてほしい」。
昨年9月に、ベンチャー企業社長との結婚が発表されたテレビ朝日・弘中綾香アナはまさかの18位。「ルックス」は、さすがに90点台だが…。「もともとアナウンス能力は高くない」「タレント力はあるが、フレッシュさという点ではやや厳しい」。
やはり、入れ替わりが激しい“競争社会”ゆえに、人気の凋落が如実に表われるのが現実だ。今回のアンケート調査に協力したプロデューサーが、こう総括する。
「この結果で象徴的なのは、フジテレビの低迷ですね。かつて『女子アナ王国』といわれましたが、今回は最上位が6位で、しかも3年めの若手。本当は、井上アナあたりがもっと上位にいなければいけないと思いますし、少々寂しい感じがしますね。TBSがワンツーというのは意外な結果でしたが、考えてみれば民放局でラジオも兼ねているのはTBSだけ。アナウンス能力が磨かれるのも、それが理由に挙げられるでしょう」
「女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥」という映画のキャッチコピーがあったが、女子アナの世界もまさに熾烈を極めている。