ゼネコン・戸田建設が22億円「支払い踏み倒し」トラブル"黒幕"創業一族副社長は直撃に「知らない」逃亡
「うちは業界内で“病院の戸田”と呼ばれているんですよ」
「これらの病院内に設置することも見据え、医療機器を扱う専門業者との取引も活発化させてきました。そして、コロナ禍に高性能空気清浄機の導入を希望する病院が増えたことで、うちは空気清浄機販売事業に新規参入したんです。それを指揮したのは、戸田守道副社長でした」(前出・社員)
「戸田副社長は当時、専務で、『イノベーション本部』に現在、格上げされた『価値創造推進室』の室長として、、新規事業立ち上げを指揮していました。空気清浄機に狙いを定めた戸田副社長は、フィンランド・ゲナノ社製品の輸入販売を選定しました」(前出・社員)
「契約が守られず、とても悔しいです。戸田建設は『女性の活躍』を掲げていますが、女性経営者の私なら、強硬な姿勢を見せれば泣き寝入りする、と見られたのかもしれません」
「私はその日、戸田建設のオフィスで空気清浄機についてプレゼンをしました。出席したのは戸田副社長のほかに、同社の社員3名でした。プレゼンが終わり、戸田副社長は『性能がいいのはよくわかった。うちにはグループ企業もたくさんあるし、医療機関への販売ルートもあるからすぐ売れるよね。やろう』と社員に呼びかけ、空気清浄機の販売契約を即断してくれました」
「同時に交わされた覚書どおりなら、2020年12月から2022年9月にかけて、戸田建設が1995台を購入して、弊社に総額22億750万円を支払う約束になっています。しかし、その約束はまったく果たされていません。というのも、戸田建設は初回の100台しか、発注してこなかったんです」(上野社長)
「約2000台の空気清浄機を販売する大プロジェクトにもかかわらず、医療福祉部のAという社員が、たったひとりで営業から販促まで担当することになったのです。危機感を覚えたAは、医療福祉部のK部長(当時)に営業担当の増員を求めましたが、放置されました。
「医療福祉部のN課長に何度も『次の注文はいつになりますか?』といったメールや電話をしましたが、N課長からは『いま忙しい』と言われ、回答を拒否され続けました」
「事態をさすがにマズいと思ったのか、このとき別部署に異動していたK部長が顔を真っ赤にして『俺はこんな契約は知らない! Aが勝手にやったことだ!』と叫ぶと、MCJとの契約書をデスクに叩きつけたんです。契約書はK部長の名前で結ばれていたため、『俺の名前を消せないのか?』と、改ざん指示まで口にしました。N課長も同様に、Aに責任転嫁しました」
「K部長は、法務部長に紹介された会社の顧問弁護士とは別の女性弁護士を頼ることにしました。その弁護士は『ゲナノ社製空気清浄機に起きた故障は欠陥品によるものだ、と主張すれば契約解除を迫れるかもしれない』というアドバイスをしたんです」(前出・関係者)
「欠陥品の例に挙げられた9台の“故障”は、タッチパネルの操作ができない、専用洗浄液を使用していないなど、単に戸田建設側がユーザーに使用方法を十分に説明していなかったことがおもな原因で、言いがかりそのものです」
“鶴の一声”で、トラブルの原因を作った張本人の戸田副社長は何を思っているのか。2月20日に直撃したが、「私は担当ではない」「何も知らない」「説明したり、対応する必要はない」と繰り返すのみ。
「大企業の“取引先いじめ”に泣かされてきた中小企業は、たくさんあると思うんです。この告発が、そういう人たちの救いになれば嬉しいです」