1912年に沈没した、英国の豪華客船「タイタニック号」の沈没現場を見学する観光ツアーで、6月18日から米国の潜水艇が行方不明になっている。
「ツアーには専門家のほか、銀行業務のソフトウェア事業で成功したイギリス人のハミッシュ・ハーディング氏、パキスタン有数の富豪の一族であるシャーザダ・ダウード氏とその息子ら、計5人が搭乗していたとされます」(ジャーナリスト)
有人潜水艇や無人潜水機の研究開発をおこなう「アミューザジャパン」(東京都調布市)の宮川清貴社長は、事故についてこう語る。
「今回の事故は、アメリカの『オーシャンゲート・エクスペディション』社の深海探査艇を、観光に使用したために起きたと思われます。つまり『しんかい6500』を娯楽に用いるようなものですね。用途を誤れば、事故につながることは容易に推測できるので、驚いています。
視界や操作機能、空間構造などは、娯楽と探査ではかなり異なります。調査艇をタイタニック観光に使用するなど、まったく考えられないことですし、5人も搭乗していればぎゅうぎゅう詰めになります。
現在は海中で艇体が破壊されたか、何かに引っかかってスタック(動けなくなること)しているかの、どちらかが考えられます。通信は、海水密度などで頻繁な影響を受けますので、通信が不可になっていること自体が、即『乗員の一大事』とはいえません。
しかし、潜水艇は本来、すぐに浮上できるシステムをもっている乗り物ですので、事態は非常に困難な状況にあると考えられます」
米国、カナダの当局が捜索しているが、消息は掴めておらず、潜水艇内の酸素は日本時間の6月22日に尽きるとみられている。
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