6月10日午前10時30分頃、栃木県日光市のサウナ施設「日光サウナリゾート」で、利用客の男性(25)が施設内にある池の中で死亡する事故が起きた。
「眺めがいい屋外サウナと隣接する大きな自然池で『冷水浴』が楽しめることから “サウナー”(サウナ愛好家)に人気です。関東近県はもちろん、東北や関西から来る客もいるほどです」と同施設を利用したことがある男性は言う。今回の事故はどのように起きたのだろうか。
「男性はサウナから出ると、そのまま池に飛び込んだそうです。すぐに姿が見えなくなり、同施設の従業員から『客がサウナに入ったあと池に入って上がってこない』と119番通報があったそうです。
その後、消防隊により発見されて病院に搬送されましたが、死亡しました。男性が溺れていたという目撃情報もあるので、警察が事故の発生状況と死因を調べています。池は深いところで3メートルの水深があるといいます」(週刊誌記者)
男性は、県外から知人らと4人で施設を訪れていたという。
温泉療法専門医でもある、東京都市大学人間科学部学部長の早坂信哉教授(医学博士)が、「昨今の急激なサウナブームでは、『より熱いサウナ』と『より冷たい水』を求める傾向がありましたので、以前からこうした事故の可能性を心配していました」と話す。
「男性がお亡くなりになった原因はまだわかりませんが、この時期の日光はまだ気温も低いので、池の水の温度はかなり低かったと思います。
一方で、サウナは80度から100度。一般的にこのような温度差があると交感神経が刺激されて血圧は急上昇します。血圧上昇だけならまだしも、脳卒中や心筋梗塞などが起きる可能性が高まります。これは年齢に関係ありません。若い方でも不整脈が起きて意識を失うこともあるのです。持病などがなくてもです。
今回の事故に当てはまるかどうかわかりませんが、不整脈の一種の『徐脈』という症状が起きると脈が遅くなります。そうすると血液が脳などに十分行き渡らず意識を失い、水中に沈んでしまうこともあり得ます」
これまでも芸能人やスポーツ選手がサウナで倒れたというニュースはあったが、早坂教授によると「湯船につかる入浴は調査が進んで事故例などをまとめていますが、サウナはブームが急に起きていることもあり、そういった統計などはありません」とのこと。
結果的に、安全な「サ活(サウナ活動)」の啓蒙活動は進んでいないという。では、どうすればサウナ利用中の事故を防げるのか。
「『熱いサウナから一気に水風呂に入って “整う”』という方もいますが、サウナ後はヨーロッパのように外気浴だけで十分です。『周りがそうしているから』とマネすることはありません。
ザブンではなく足先からゆっくりと。もしサウナ後に苦しいなど気分が悪くなり、5分から10分たっても治らなければ、迷わず救急車を呼んでください」
「 “整う” つもりが……」とならないようにしたい。
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